梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

中国のAIサービス管理規制案(前編)

 昨年末、中国政府のサイバースペース管理局は「AIサービス管理に関する暫定規制案*1」を公表し、現在パブコメに掛けている。欧州の「AI Act」や米国FTCの執行規則に類するもので、当局が「人工知能擬人化インタラクティブサービス」と呼ぶものを、

 

1)一般規定 5ヵ条

2)サービス仕様 19ヵ条

3)監督検査と法的責任 5ヵ条

4)補足規定 3ヵ条

 

 で規制するという内容だ。機械翻訳してもらったものを全部読んだが、AIの定義自体ははっきりしない。あたかも人のようにインタラクティブに人とコミュニケートするサービスを対象としている(第2条)らしい。<Forbes誌>が「アシモフロボット三原則の再発明*2」と報道したが、対象がロボット(今の言葉でいうフィジカルAI)ではないので、少しミスディレクションである。

 

    

 

 各国政府共通して、AI技術は発展させたいが、弊害は抑えたい。弊害としては、

 

・犯罪に使われる

・利用者を危険にさらす

・誤動作をして暴走する

・現政府に不都合な言説等を広める

 

 などが考えられ、特に中国政府は最後の点に神経をとがらせている。まず一般規定として、当該サービスの健全な発展と標準化(第1条)、法に基づく統治を原則として、国家が包括的に監督する(第3条)。国務院や地域のインターネット情報部門など関連行政部門が監督をするが、全体調整は「国家サイバースペース部門が行う(第4条)。サービス事業者は「社会的監督」を受ける義務がある(第5条)。

 

 補足規定に監督を受ける事業者の範囲が示されていて、いわゆるプロバイダー以外にも保健・金融・法律などのアプリケーションサービス事業者も監督を受ける(第31条)とされている。

 

<続く>

*1:中国サイバースペース管理局による中央サイバーセキュリティ情報技術委員会の人工知能擬人化インタラクティブサービス管理暫定措置に関する通知(コメント案)_Office

*2:中国、アシモフの「ロボット工学三原則」を再発明──24条項に拡張 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)