私は25年ほど、Global &Digitalの潮流に乗ったビジネス拡大を推進する一担当者であり続けた。業界団体や日米、日欧のデジタル会合、TPPやRCEPに関する会合の場で、少しだけ意見を述べてきた。基本的には日本の中の企業(&業界団体)の立場だった。しかし上司はより大きな議論の場に参加していて、時折その模様が伝えられて勉強させてもらったものだ。
その会合とは、世界経済フォーラム(WEF)。各国政府・企業・市民団体・学界のリーダーたちが集い、グローバルな課題に取り組み未来志向の議論をするものである。社会課題を取り上げる11のセンターがあって、その中にサイバーセキュリティセンターがあることから、私も間接的にこの会合に関わるようになっていった。

WEFでの議論は、世界経済界の産業人としては(私利私欲ではない)崇高なものだが、超大企業や資産家が集まるものと見られ、
・新自由主義的だ
・哲学も倫理もないカネだけが目的
・歪んだグローバリズムで格差や分断を広げた
との批判もある。しかし、私はそこでの議論を歓迎し、参考にしていた。ところが今年の年次総会(通称ダボス会議)は、暴君トランプが席巻し異様な状況のまま終わった(*1)という。
トランプ政権が掲げる「ドンロー主義」や、関税を使った脅し、国際法を無視した軍事力の行使、経済活動の自由や市民移動の自由を奪う過度の規制、気候変動など公益を無視した姿勢などは、本来WEFとして受け入れられるものではない。
しかし米国内でビッグテックらも無理難題に耐えているように、WEFもトランプ帝国主義の前にひれ伏した感がある。経済界の中には、逆にトランプ政権の背後に回って我田引水を計っている者もいるかもしれない。
そんな閉塞感を感じさせる、今年のWEF年次会合だったと思う。しかしWEFの理念は、このまま消えてしまうとは思いたくない。どこかで反帝国主義の動きが起きた時、WEFも立ち上がってほしいと思う。