今は総選挙中なので、具体的な政策的制度改正の議論などは休止状態。新しい衆議院の構成や内閣の顔ぶれによって、選挙期間中に訴えられる政策だけでなく、あまり触れられていない政策についても、方針が改まるだろうから。表立って訴えられる減税等の政策に比べ、安全保障系の話はあまり話題に上らない。左派系の政党が、
・軍拡反対
・日米同盟見直し
・スパイ防止法阻止
などと言うくらいだ。そんな総選挙の直前に、ロシアの諜報機関SVR(対外情報庁)の職員が、不正競争防止法違反で起訴されるという事案があった。
ロシア元職員とメーカー元社員、営業秘密漏洩容疑 「スパイ」か:朝日新聞
工作機関メーカーの社員から、営業秘密を得たというのが容疑。おそらく<ペルソナ・ノン・グラータ>として国外退去になるのだろう。

記事を読む限り、ロシアの諜報員がやったことは大したことではない。日常一杯起きていることの一つだし、「安全保障上の機密が漏れたわけではない」とされているし、報酬も接待10回、謝礼70万円では小さなことと思えてしまう。
そんな案件を、今のタイミングで公安警察や検察が公表したのは、特別な意図があってのことと疑ってしまう。こんな件は、いつでも公表できるからベストタイミングで公表するのが普通。それが今だった理由が問題だ。
似たような件としては3年近く前、産総研に勤務していた中国人がフッ化化合物の技術情報を盗んだとして告発された事案があった(*1)。この時はまだ岸田政権、現在の高市政権よりは(対中)穏健と見られていたが、やはり「スパイ防止法」が必要ではとの議論が起きた。いくつかの報道も、それを後押しするものだったと記憶している。
当時よりは世界の状況は緊迫しており、総選挙後の新内閣でもスパイ防止法の議論加速は求められるだろう。欧州のGDPRが十年以上前から産業スパイ対策に使われていたとの指摘もある(*2)。当局が、総選挙後のスパイ防止法制定に向けたムーブメントを先取りしてこのような発表をしたのだと、私は思う。