俗に「SNS選挙」と呼ばれるものが、首長選挙から国政選挙まで広く行われるようになっている。その特徴は、旧メディアの予想を大きく覆すこと。顕著になったのは、2024年夏の東京都知事選挙だった。安芸高田市の市長で中央政界では無名だった石丸伸二氏が、予想を覆して善戦し現職小池候補に迫って第二位の得票を得た。
同じ2024年秋、パワハラ疑惑などで議会から不信任を突き付けられた斎藤知事が失職し、再び立候補した知事選挙。斎藤氏は自民党や維新の会などから絶縁され、再選は難しいと思われていた。本命と見られていたのは尼崎市長だった稲村和美氏。しかし結果は、斎藤氏の再選となった。
類似の現象は、今月の総選挙でも出た。年度内予算成立を困難にし、豪雪や受験シーズンでの総選挙そのものも含めて、高市総理は批判に晒された。旧統一教会問題が噴出し、裏金議員も公認され、高市自民党総裁には逆風の選挙のはずだった。

それが(予想ではなく)調査が始まると、自民党300議席との結果が出るなど、選挙のプロたちが首を傾げる結果になった(*1)。この3つの選挙を見て思うのは、旧メディアの力が落ちたというより、旧メディアの意志/意識と逆の方向に事態が動いたということ。その仮説は、この書「SNS選挙という罠*2」を読んで、確信に変わった。いわく、
・旧メディアに嫌われ、叩かれるヒーロー(&ヒロイン)になること
・ヒーローを擁護する投稿をすると、再生回数が増え収益にもなること
・虚偽であっても陰謀論のようなストーリーが生れ、大衆に信じられること
という原因で、有権者が分断され旧メディアに嫌われ叩かれる者が(二項対立の中で)優位に立っていくというのだ。選挙戦では、メデイアだけでなく対立候補や政党も相手を批判する候補にも冷たい目が向けられる。特に今回、れいわ新選組や共産党、社民党の(自民党というより)高市総裁への批判は強かった。皮肉なことだが、批判を強めれば強めるほど、相手は強くなったのだ。小選挙区で勝った自民党候補のコメントが面白かった。
「いつもは、お前に期待すると投票してくれるのだが、今回は高市さんを支えてねと投票してくれた」
この言葉が、今回の選挙を総括していると思う。