米国・イスラエルのイラン攻撃から、6週間が経った。国際社会としての大きな問題は両手の指でも足りないくらいあるが、日本社会にとって最大の問題はホルムズ海峡の封鎖。原油やLNG、ナフサなどが出てこられないし、ウクライナがロシアの石油積み出し港を攻撃して桟橋などを破壊したこともあって、世界的に品不足となって価格が高騰している。
1ヵ月前に、この事案は日本の経済安全保障を考える試金石になると申し上げた(*1)。特に経済安全保障という言葉が腑に落ちていない日本企業にとって、日本政府の本件への対応は参考にするいい機会である。考えるべきことは以下の3点、これに今ここにある危機を重ねてみた。

1)リスクとはどんなものを想定するのか?
原油等の供給が厳しくなったこと、円安もあって価格高騰。第一次オイルショック以来の、代表的なリスクである。
2)コストがかかるのにどこまで準備するのか?
洋上や地上に備蓄基地を設けていた。200日分越えの備蓄があったのは、アジアの国では中国と日本だけ。しかし供給源の多角化は、ロシアの問題もあって進んでいなかった。また、体制として経済安保担当大臣を置いていたが、いざとなったら「中東情勢に伴う重要物資確保担当大臣」が任命されている(*2)。
⇒ 経済合理性を欠いてでも、供給源の多角化をすべきだったろうか?また、大臣だけ置いても実働部隊がないので、実際に手を動かせる手練れの官僚を多く抱える経産省に拠るしかなかったろう。
3)いざ対策を発動すると種々の影響があるが、いつ発動するのか
備蓄の少ない国々では、節電・節約を勧め始めたところもある(*3)。日本の対応は、余裕なのだろうか、悠長なのだろうか?
⇒ 問題はあっても、原発再稼働や石炭火力発電再開をとの声もある。これらの決断はどうなるか、政府内の議論も含めて公開してもらえれば教訓になる。
不幸なことだがこの危機はまだ続きそうで、自社の経済安全保障論の参考になることはまだまだ出てくると思われる。
*2:「出番じゃないの?」赤沢経産相 中東情勢「新大臣」任命も…小野田経済安保相が“登板ナシ”でSNS疑問の声 | 女性自身