米国・イスラエルのイラン攻撃に始まる中東紛争は、世界経済を動かしている原油の供給に影を差した。ペルシア湾岸の製油所や積出港が攻撃され、カタールのLNG基地など復旧に数年かかる被害を受けたと伝えられる。そしてチョークポイントであるホルムズ海峡をタンカー等が通りにくくなり、原油やLNGの供給が厳しくなっている。
そうでなくても、ウクライナ・ロシア戦争で、ウクライナがロシアの原油積出港を攻撃するなどしていて原油の先物市場は高くなっていたのに、中東紛争が加わり3月には1バレル=100ドルのラインを越えてしまった。
昨年、こんな本を読んだ。経済ヤクザ出身の評論家菅原潮氏の著作で、「ドル・石油・暴力」が連動して経済を動かしているという内容だった。雰囲気は分かるのだが、内容として腑に落ちないところもあった。しかし、今回の中東紛争でこの主張が正しかったことを確認した。

中東のオイルマネーが支えたドル覇権、「暗黙の取り決め」に終止符 - Bloomberg
<Bloomberg誌>が伝えたこの記事が、私の疑問にぴったり応えてくれている。
1970年代に作られた、サウジアラビア等の産油国が原油をドル建てで売り、得たドルで米国国債を買うスキーム。これが半世紀の間、オイルマネーの裏付けで国際金融市場のドル覇権が続いたカラクリだとある。もちろんそれを支えているのは、圧倒的な戦力を誇る米軍。
しかし中東に関与し続け、いろいろなものを失ったと考えるMAGA派の米国人は、海外の紛争に関与しない政権としてトランプ候補を選んだ。その願いは今回、トランプ大統領自身によって踏みにじられてしまったのだが、関与の仕方を誤った(やりすぎた)ばかりに、上記のスキームすら壊してしまったのかもしれない。
まだ小さな取引だが、イランがホルムズ海峡の通行料として求めているカネは、中国元か暗号通貨だという。中東のオイルマネーが細り、ドル覇権が危うくなれば「ドル・石油・暴力」の連動による経済自体が終焉に向かう可能性がある。表面上の経済問題よりずっと意味深なこの報道、経済の専門家に一度教えを乞う必要があるだろう。