ホルムズ海峡封鎖やペルシア湾岸、黒海などでの原油関連施設への物理的な攻撃があり、原油不足が続いている。原油はエネルギー関連だけでなく、様々な業界に恩恵をもたらしていて、化学繊維や樹脂の材料にもなっている。今月大手メーカーTOTOが、ユニットバスの生産を縮小するとの記事があった。
【ナフサ不足】TOTO、ユニットバスの新規受注停止。製造業に「ホルムズ海峡封鎖」影響広がる...競合リクシル「状況が確定次第、公表」【イラン戦争】 | Business Insider Japan
ビジネスホテルなどでお世話になるユニットバス、限られた空間の中で快適性を求めるとこういう形になるのかもしれない。全体が繊維強化プラスチック(FRP)でできていて、ナフサは樹脂成分として使用されている。

では、ユニットバス1台でどのくらいのナフサを使うのだろうか?Copilot君に聞いてみると、
「ユニットバス全体で150kg以下、ナフサ由来の樹脂成分はざっくり100kgほど」
という。例えば人工透析用のバッグは何個作れるかと聞くと、
「人工透析用バッグは、1~2L用で80g。その内樹脂成分は50gほど」、
との答え。概数だが、ユニットバス一つを生産中止することで、人工透析バッグ2,000個を生産できることになる。上記の記事でTOTOさんは「既存の受注に対応するため、新規受注を止めた」と言っている。あくまで自社の判断である。浮いたナフサがどうなるのかについて、TOTOさんの関与するところではないだろう。
統制経済下ならば政府が「ユニットバスに使うナフサを、人工透析用バッグに回せ」と命令できるのだが、日本政府はもちろんそんなことは言わない。ただ、事態がひっ迫してくると「お願い」はするだろう。
現時点では備蓄もあるし、代替えの原油調達先もある程度メドがあると政府は言う。危機レベルの信号としては、青から黄色みがかったところとの認識かもしれない。しかしこれが黄色から赤味がかってきたら・・・。
まずは産業界の自主的な制約、業界団体での制約、それでも賄えないような危機なら政府としての制約となっていくのだろう。このような流れは、企業の危機管理(含む経済安全保障上の事業継続)にも適用できる考え方であり、教材であると思う。