昨年夏に警察庁から送ってもらった「令和5年警察白書」によると、サイバー事案による検挙数は着実に増えていて、2021年に12,000件に達し、2022年度では12月までの9ヵ月間で12,000件を越えてしまったとある。
警察組織の中枢に「サイバー警察局」ができて2年になる。警察庁には今、5つの局と長官官房がある(*1)。5つとは、刑事局・交通局・警備局・生活安全局とサイバー警察局である。サイナー警察局以前には、生活安全局が出来たのが20余年前。それまで犯罪が起きないと「民事不介入」を盾に、市民が不安に思っても警察は動いてくれないとの批判に応え、生活安全局が設置された。
それまでの「犯罪があったら言ってこい。犯人は捕まえてやる」とのスタンスから、疑いでも現場が行動するようになってくれたと警察庁の高官はいう。サイバー警察局の設置も、似たような行動変容をもたらしてくれる(*2)ことを私も期待していた。
このところ暴れ回っているランサムウェアの被害で、データが暗号化されて困っている企業などに対して、警察が暗号解除して救った例(*3)も紹介されて、間違いなくデジタル警察は進歩している。
ただ、市民から見れば「サイバー犯罪を受けたら、誰に相談すればいいのか?」という悩みは残っている。近所の交番に言っても、専門官はいないだろう。じゃあ、警察署?それも本部じゃないとダメ?ひょっとして専門部隊に直接・・・?と迷ってしまう。
そこで警察庁では、都道府県警察に対するサイバー事案の通報窓口を、警察庁サイト上で統一した(*4)。QRコードでサイトにアクセス、規定のフォームに入力すれば通報が完了する。あとの対処は、警察庁サイトから指示を受けた現場が行うのだ。
これは単なる窓口サイトの新設ではない。通報を受けてどう動くかが定められた、つまり対応体制が決まったということを示している。サイバー犯罪者も続々新手を繰り出してくるのでいたちごっこではあるものの、日本の警察の努力も買いたいと思う。
*1:kuninokeisatukikouzu.pdf (npa.go.jp)
*2:デジタル犯罪は良く分からないので敬遠 ⇒ デジタルでも犯罪は犯罪として、ちゃんと取り締まる