梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

メタ・プラットフォームズ、2つの試練

巨大IT企業の代表格は、俗に「GAFAM」と呼ばれている。私も彼らとは種々の交流をしてきて、今でもお世話になることが多い。ただこの中で全く付き合いのないのが、旧フェイスブック、現メタ・プラットフォームズである。理由は私のビジネス経験がBtoB型に限ら…

ハマスとイスラエルの「Cyber Warfare」

ロシアのウクライナ侵攻にあたっては、侵攻前からロシアのサイバー攻撃がウクライナの社会インフラなど重要施設に向けられていた。被害は出たものの、巨大IT企業の助けを借りたウクライナ政府は、 ・電子政府の疎開 ・政府システム等の(ウイルスの)チェッ…

問題はどの市場に活かすか(後編)

だから私のビジネス人生の大半は、IT市場拡大に費やされた。具体的には、 ・市場を知るためお客様の状況を学ぶ ・市場にアクセスするため、パートナー企業(例:商社)を捜す ・デジタルが使えない規制の緩和に向け、業界団体・政界・官界と接触 ・サイバー…

問題はどの市場に活かすか(前編)

先週「AIモデルのCM」が登場したことを紹介したが、IT業界にいる者にとっては、生成AIのプログラミング能力の方が気になる。生成AIが(使い方によっては)高度なプログラムを、非常に短い時間で書き上げることができるからだ。日本のIT産業、特にSIerと呼ば…

悲劇的な我慢比べ・・・の果ては?

強硬なイスラエルの、特にネタニヤフ首相が就任して以降のパレスチナへの圧力は確かにひどい。しかし抵抗運動とは言っても、5,000発ものロケット弾を撃ち込み、壁を越え空から、海から同時に侵入して民間人を虐殺し、200人あまりの人質を攫ったハマスの暴挙…

ピンクスライムメディアの意味

かつては、家庭に朝刊が配られ、サラリーマンは通勤途上でスポーツ紙を読み、帰宅すれば奥さんが夕刊を広げている・・・そんな日常があった。しかし今では、全国紙の雄だった朝日新聞ですら部数を減らし続けている。市民の多くがネットメディアに拠り、新聞を読…

技術輸出規制の目的

Huaweiの最新型スマートフォンについて、西側諸国では「信じられない」との声が出ている。少なくともハードウェアについては、Apple社のものと遜色がないと評価される。特に7ナノ級の技術を使った半導体が採用されていることに、関係者が驚きを隠さない。 …

AIタレントのCM初登場

生成AIの登場は、各方面に大きなインパクトを与えた。 ・いよいよAIが人間を超える ・人間の職場がAIに奪われる ・AIを使えるか否かで、人の価値が二極化する といった言説が、紙メディアにもデジタルメディアにも散見されるようになった。かつて、米国の有…

人間関係とテクノロジー

勧めてくれる人がいて「The Good Life」という本を読んだ。およそ1世紀にわたり、総勢1,300名超の人生をトレースし、膨大なアンケート結果の蓄積を基にした「幸福の科学」である。 ハーバード成人発達研究の成果 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp) 結論は、良い…

ファクトチェックの重要性

いわゆる「フェイクニュース」が続々現れ、デジタルメディアを通じて世界中に拡散してゆく。単なる言葉の「嘘」でも、社会に大きな影響を与えることがあるのに、今はより信じられやすい映像の形で広がっていくのが恐ろしい。 かつてボスニア・ヘルツェゴビナ…

日本のサイバー外交を聞く

この日は久しぶりに経団連会館にやってきて、外務省のサイバー大使/審議官の話を聞くことができた。大使は「日本のサイバー外交」と題して講演。国家安全保障戦略中にサイバー分野が盛り込まれたこと、通信の秘密(憲法21条)がある中で日本としてどのよう…

ハマス奇襲成功のなぜ?

中東情勢が一気に緊張した。1週間前のハマスのロケット攻撃に始まり、イスラエル軍のガザを空爆。ハマスは外国人を含む100名以上の人質を取り「空爆すれば人質を殺す」と脅迫した。米国が直ちに「イスラエルと共にある」と宣言したのは当然として、英仏独(…

失われた30年の主犯

ある政治討論番組で「なぜ日本経済は低迷しているのか?」が議論されるシーンがあった。よくあるテーマだが、議論していくうちに、 ・アメリカの陰謀にやられた ・不良債権処理を誤った ・画一化された教育が良くない などととっちらかってしまうのが常であ…

日ASEANサイバーセキュリティ連携

今年は、日本とASEANの交流開始から50周年にあたる。さまざまなイベントが企画されているとのことだが、この日は「日ASEANサイバーセキュリティ官民共同フォーラム」に参加するため、旧知の<明治記念館>にやってきた。もともとは明治憲法の草案を練った施…

イスラエルのセキュリティ産業

日本ではGDP比2%の防衛費に向けた議論が進んでいるが、もしそうなると世界で3位の軍事(大)国に位置付けられるという。そんな国が「戦力不保持」を憲法に謳っているのはどう考えてもおかしいので、憲法改正の議論は必要だと思う。日本が「議論」の段階を…

CIOの悩み、ではCISOのは?

あるデジタル系の協会が主催する「デジタルデイズ」というイベントに参加することになった。Web上で1ヵ月に渡り企業のデジタル化(DX)について、各社の事例や課題を共有し、対策を話し合うのがテーマ。私が招かれたのは、最終日の後夜祭とパーティを兼ねた…

IT産業人自らの変革

各国の成長率が鈍化している中、「失われた30年」だった日本経済に成長の兆しが見えてきた。4~6月期のGDP成長率が年率換算6%を越えていることがその証だし、これからへの期待も、 ・大企業中心に大幅ベースアップ ・初任給1,000万円以上の待遇も ・公務…

NICTのサイバーセキュリティ施策

先週、日経紙の一面に「政府端末に国産サイバー対策ソフトを」との記事が載った。個人用にしても法人(機関)用にしても、サイバーセキュリティソフトウェアやソリューションに、日本オリジンのものは少ない。以前経産省が「国産のセキュリティ産業を育成す…

米国の「AI兵器規制」案

拒否権を持つ常任理事国であるロシアが、自ら紛争当事国になったことで、より一層無力感が深まっているのが国連の安全保障理事会。しかし国際紛争の解決に向けた、全世界的な活動機関としてはここしかなく、無駄とは分かっても議論を続けなくてはいけないの…

混乱する米国にこそ学ぶべし

米国の会計年度は、10月から始まる。先月末、与野党が拮抗する議会両院で新年度予算が成立せず、あわや政府閉鎖かというところまでバイデン政権は追い詰められた。本予算成立までのつなぎ予算案も再三否決され、まさにギリギリのタイミングで最後のつなぎ予…

企業秘密のマネジメント

商社から別の商社に転職した人物が、旧職場から営業秘密を窃取した容疑で逮捕された。容疑は不正競争防止法違反で、退職後も別の従業員のID/パスワードを使って旧職場のシステムにアクセスし、部品や取引先の情報をダウンロードした疑いがもたれている。 双…