梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

2024-04-01から1ヶ月間の記事一覧

AI適用分野、まだ試行錯誤

AI

今月、何度目かになるのだが「AIの定義」が必要だと述べた。AI規制を先行させている欧州委員会では、OECDと同じ定義をしているのだが、 「入力内容から予測や推奨、決定などの出力を生成できる機械ベースのシステム」 なので、やはり広すぎると思う。その定…

サイバー犯罪対応統一窓口

昨年夏に警察庁から送ってもらった「令和5年警察白書」によると、サイバー事案による検挙数は着実に増えていて、2021年に12,000件に達し、2022年度では12月までの9ヵ月間で12,000件を越えてしまったとある。 警察組織の中枢に「サイバー警察局」ができて2…

中国人民解放軍のDX

中国人民解放軍は、5つの戦区(東・西・北・南・中部)に統合作戦指揮機構があり、陸軍・海軍・空軍・ロケット部隊が統合運用される仕組みになっている。実戦力である4軍種の他に、2つの支援部隊「戦略支援部隊」「中央軍委聯勤保障部隊」がある。 今月、…

AIは人類の能力を高める!

AI

昨年の生成AIの登場は、いろいろな社会的ムーブメントを引き起こした。極端なものは「シンギュラリティ」がやってきて、人類が滅ぶのではないかというもの。そこまではいかなくても、誰でも新しいテクノロジーに対しての恐怖感はあったと思う。一般にAIと人…

生産過剰の解消は難しい

今月に入って、米国のイエレン財務長官、ドイツのショルツ首相が中国入りし、習主席らと会談をしている。中露vs.欧米というイデオロギー対立は、正直大きな問題ではなく各国共足元の経済をどうするかに着目している証拠だ。会談の目的については、中国からの…

大きな枠組みの議論を期待する

先週、日本にセキュリティ・クリアランス(SC)制度を導入する「重要経済情報保護及び活用に関する法律案」が衆議院を通過し、参議院に送られた。この制度に関しては、私も2年ほど研究してきて、 ・機密情報を、例えば重要インフラのサイバー防御に使うため…

ひとつの帽子、複数の帽子

企業で、サイバーセキュリティ対策を担う役員(or準役員)であるCISO。比較的新しい役職であり、業種等によってさまざまな位置づけがあって、職責・権限も百人百様である。私たちはCISOを応援する立場で、CISO同士が意見交換し本音を語れる場を設けたり、CIS…

耐震化だけではないミッション

今月から、上水道の整備・管理業務が、厚労省から国交省に移管された。以前から下水道は国交省担当だったから、上下水道の管理元・責任元が一元化(*1)されたわけだ。当面焦点が当たっているのは、今でも断水地域が多い能登半島地震の普及や、他の地域でも…

「ボスが来たボタン」は無意味

あるメディアの企画で、クライアント管理ツールを主力製品としている企業の役員と対談することになった。同社の製品は「COVID-19」禍でテレワークが爆発的に増えた時期に市場を広げ、タクシー車内でのCMなどよく見かけるようになっている。 テレワーク状況を…

スマート家電が乗っ取られた?

このところのエレクトロニクス製品は、ほぼすべて小さなコンピュータを内蔵していると考えられる。それによって、自動車も家電もずっと使いやすくなった。メンテナンスも楽になって、相対的なライフサイクルコストも下げることができた。その一方、新しいサ…

民主主義国家ゆえ致し方なし

何度か、中国企業バイトダンスが提供するSNSアプリ<TikTok>の危険性について紹介してきた。公表されないデータも含めて、利用者の情報は習政権に筒抜けになる(*1)と思っておくべきだし、偽情報拡散の道具に使われたり、場合によってはサブリミナル映像を…

国家情報法下のクラウド事業

中国企業は共産党政権からの要請があれば、自社が保有するデジタルデータを提供しなくてはならない。習政権はサイバー空間にも中国の国家主権があると主張し、国家統制を強化する政策を2010年代に次々と打ち出した。そのひとつが、この法律「国家情報法」で…

日本にデータセンターを作るには

訪米中の岸田総理は、大統領との会談や議会での演説のほか、産業界の要人とも会談している。代表格がMicrosoftのブラッド・スミスCEO。同社は、総理との会談の後に、日本でのデータセンター投資(*1)を発表している。 日本でのデータセンター新設/投資は、…

国連専門機関では、AIの定義を

ガザ地区の状況は、飢餓などは一層深刻になっているが、イスラエル軍の攻撃はやや緩和されているようだ。避難民がひしめき合っているラファ侵攻は行われず、イスラエル軍はガザ南部から撤収しているとも伝えられる。これは明らかに、NGOの<World Central Ki…

異例の裁判官弾劾裁判

先週、国会内の裁判官弾劾裁判所が、仙台地裁の岡口判事に対し「罷免」の判決を下した。裁判官というのは、法曹界の中でもひときわ狭い世界で、他の世界との交流も少ない。司法修習生を終えるときに、道を選ぶのだが、 ・検察官は職務がハード、捜査検事など…

ニュース映像をじっと見ている

マグネチュード7.7とは、かなり大きな地震だった。震源地は台湾島東部のすぐ沿岸、花蓮県では12人ほどの犠牲者が出たという。年初の能登半島地震もマグネチュード7.6だったから、ほぼ同じ規模。しかし能登半島地震で245名もの犠牲者が出たのに比べると、人的…

1000倍のレバレッジ経営!

先月、電子商取引(EC)大手ベスト10に、中国企業が名を連ねているが、中には怪しげなものもある(*1)と紹介した。特に日本でも急伸しているのが「Temu」というサービス。創業は2022年9月というから、まだ1年半しか経っていない。激安ECサイトで、中国の…

移民大国米国のブランド

昨日、サイバー攻撃による一次被害・二次被害・企業ブランド棄損の連鎖について紹介したが、先月のボルチモア港の衝突&橋崩落事故でも、似たような連鎖があり得ると思った。 事故原因は、電源異常によりコントロールを失った船が橋脚に激突したもの。サイバ…

一次被害・二次被害、そして・・・

サイバー攻撃の脅威は世界中で高まっていて、被害が増えていることも確かだ。しかし実際にどのくらいの「被害」があったのか?その被害額についての情報は多くない。ある業界団体の調査では、ケース毎の平均被害額がレポートされていた。 ・Webサイトからの…

暗号資産課税の攻防

国レベルの政府・行政機関の役割として重要なのは、社会福祉政策でも産業政策でもない。まずは防衛・外交・収税・通貨である。このうち収税以外の3項目は、直接票につながらないので、政治家には重要視されないという問題がある。ただ税金に関しては、有権…

三方一両損の政治改革

自民党の裏金問題で、政界全体が揺れている。立憲民主党の泉代表は「ミッション型内閣」を提唱しているが、その実現性は低い。維新の会や国民民主党は、憲法・原発・国防など基幹政策で合意できないと、連立は難しいとしているからだ。私も、少なくとも外交…