Web3.0の時代がすぐそこに来ているとする書物は、いくつも出版されている。これからのビジネスパーソンは、Web3.0を理解し使いこなせないと「うだつが上がらない」と脅迫するような記事もある。ではその実態はどうかというと、広くあまねく普及するにはまだ多くの課題があると思われる。
インターネットは米軍のシステムが基本になっていて、限られた団体や企業が多くの消費者に向けて一方通行で情報提供をしていたWeb1.0からはじまる。次に個人の利用者なども自ら情報発信ができるWeb2.0になるのだが、その結果多くの情報が<ビッグテック>と呼ばれるきわめて少ない事業者のもとに集まってしまった。
Web3.0はインターネットの中央集権型管理を脱し、分散管理・分散処理によって情報流通を差配するシステム(*1)である。Web3.0を支えるブロックチェーン技術は、仮想通貨やNFT、DAOなどを可能にする。
来るべき時代には、知識の資本主義がお金の資本主義にとって替わるとする書(*2)もあった。情報はネットワークが分散管理するので、巨大な管理者は必要ないし産まれない。情報の主権者(個人)は自らの情報がどう扱われているかを確認できるので、主権が担保される。
いいことづくめのようだが、なぜ普及しないのか?技術的に難しすぎて、一般の人が理解できないからなのか?確かにそういう課題はあるのだが、足元により大きな問題があると識者に教えてもらった。それは、ドメイン管理に衝突の危険性が残っていること。ドメインとは、Webサイトの「co.jp」や「.com」といった識別子。これが衝突(重複)すると正しい情報通信が行えない。例えば、意図したのではないサイトに莫大な仮想通貨を送金してしまうこともありうる。
<続く>