ウクライナ・ロシアも、イスラエルや中東諸国も、聞くところではミャンマー少数民族もドローンを有力な戦術兵器として使っている。巨大な戦艦が航空機や潜水艦に駆逐されたように、高価な兵器がより安価なものに置き換わっていくのは戦場の棋理(*1)である。
今試験航海中だというが、中国海軍の巨大空母「福建」など、雲霞のごときドローンに押し包まれれば「ただの標的艦」になってしまうだろう。では対ドローン戦術はどうするかというと、候補の一つはGPSを狂わせるような電子/電波兵器。
TVドラマ「NCIS」のエピソードに、首都を目指してくる連絡のとれない民間機を、
・自動操縦機構をハックするのは出来なかった
・GPS衛星をハックして進路を変え、首都郊外に不時着させる
というものがあった。もちろんドローンの誘導がGPSのみに拠っているわけではないだろうが、有効な戦術手段であることは確かだ。また、比較的簡単にGPS妨害は可能だ。例えばGPS衛星をハックしなくても、それが発している信号と同じ周波数で、より強力な電波を送ってやればドローンは行く先を見失ってしまう。
この戦術についてはロシアがすでに実戦に使っているようで、バルト海などで民間航空機の運航に支障が出ているという(*2)。
インターネットが誰でも使えるようになっていて、かつ性善説で運営されたのでハッキング等の被害を受けるようになったのと同じで、GPSもセキュリティホールは大きく開いたまま。すでに重要インフラになったGPSの防御手段も、R&Dして実装していかなくてはいけない。もちろんそれによってコストは上がるし、使い勝手も悪くなる。セキュリティ性と利便性は、相反するのは間違いないので。