梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

アルメニア・アゼルバイジャンの和平

 ロシア・ウクライナ紛争の和平に関して、いろいろな国が提案をしているが、現状では和平交渉が始まる気配はない。提案している各国も「言いましたよ」程度の提案だとする有識者の意見もあった。

 

 一方長年紛争が続いていた、アルメニアアゼルバイジャンの紛争(*1)が決着するかもしれない。いずれも旧ソ連の構成国で、

 

アルメニアにはロシアが

アゼルバイジャンにはトルコが

 

 肩入れしていて、特にアルメニアはかつてトルコ軍に侵攻され<アルメニアの虐殺>と呼ばれる過去もあったことから、強硬姿勢だった。しかしロシアの力が相対的に弱まり、あてにならないとみたのだろうか、アルメニアが譲歩案を出して、欧州や米国に仲介を求めている。

 

    

 

 先月の「ユーラシア経済同盟」の首脳会合で、アルメニア首相がプーチン議長の発言を遮りアルメニア批判を始めた。当然アゼルバイジャン側も反撃し、プーチン議長はなすすべなく面子を失ったと伝えられる。

 

 和平を契機に、アルメニアの欧州への接近は充分考えられる。実はアルメニアはIT立国なのだ。旧ソ連圏では、エストニアが有名だがこちらはソフトウェアが主体。アルメニアにはハードウェア技術者が多い。

 

IT立国アルメニア - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 アルメニアは<グローバルIT大賞>なるアワードをしていて、私の企業時代の先輩が受賞されたことから、一度大使館主催の会合に出席したことがある。その企業が最近M&Aした企業が、ウクライナに7,000人以上の従業員をもっているという事実もある。旧ソ連圏の国でも、やはり外貨を稼げるのはデジタル産業。多くのデジタル産業/技術者を持つアルメニアにも、期待することは多い。

 

 大国が目を光らせているから和平が保てるということもあるが、威光が届かなくなったから成る和平というのもあるようだ。両国の和平やアルメニア産業界との交流を、私としては期待したい。

 

*1:ナゴルノ・カラバフ自治州の帰属を巡るもの