最近気づいたのだが「NHK解説委員室」というサイトがあって、ニュースでイラスト入り解説をした内容が、イラスト込みで掲載されている。普通の人にも分かりやすく、かつ見逃し配信の役割も含めて、なかなか良いサイトだと思う。
さてこの記事だが、自衛隊がサイバー部隊の増強を図るために、民間人採用にも力を入れ始めたという内容だ。これについては多少の知見もあるので、補足してみようと思う。記事ではさらりとしか触れていないが、民間人登用にはいくつもの課題がある。
1)守秘義務と忠誠心
機密を扱うことになるので守秘義務は当然だが、それを裏打ちし明示もされているのが「忠誠心」。米国海兵隊でいう「センパー・ファイ」の世界だ。国家を愛し、これに背く行為を決してしないという(やや宗教的な)誓いである。民間人の中には、これをヘイトする人もいるだろう。
2)待遇と周りの目
記事には厚遇で迎えるとの記述もある。最高で事務次官級の待遇もあり得るとのことだが、これは自衛隊という組織上これ以上が設定できないから。民間なら数千万円の年俸で迎える場合もあるから、給与面ではとても太刀打ちできない。また厚遇した場合に周りの目という難敵もある。自衛隊にもキャリア・ノンキャリアの差、士官と下士官以下の差はあるが、やはりクローズドな組織。外部からやってきて、20歳そこそこで一佐待遇などとなれば、周りの目も厳しいし全体の士気にも係る。
3)目標人材にミスマッチ?
5年間の有期で幹部自衛官(待遇)の採用というのが今回の主旨だが、幹部というからには指揮官クラス。この人たちにはサイバーセキュリティの戦術リテラシーは必要だが、それ以上に求められるのは作戦級・戦略級の能力。それなのに公募にあたり「サイバーコンテスト」をするという。この方法では戦術級能力や精々基礎的作戦級能力は測れても、戦略級能力を見出せるのか疑問だ。
<続く>