「静かな危機」と呼ばれる少子化問題、日本に特有のことではなく、先進国ならどこも抱えている課題である。特殊出生率が2を越えているという米国だって、増えているのは移民であって、WASPの人口は減り続けている。
岸田政権は異次元の少子化対策として、年間3~3.5兆円をこれに充てると閣議決定をした。下記がその3本柱。
・児童手当を中心とする経済的支援強化
・幼児教育や保育サービスなどの支援拡充
子供への支援は未来への投資だから、そのこと自体に異論は少ない。野党の中には「国債を発行してでも15兆円/年を充てるべし」との意見もあるし、「そもそも非正規社員を増やして若い世代を困窮させたのが原因」との声も大きい。ただ、若者の本音として、
・ひとりでだって生きていけるし、その方が気楽
・(好きな相手でも)他人とべったり一緒というのは疲れる
ということはある。少子化対策としては、フランスが成功した事例と言われる。社会全体で子育てをの理念で、
・男性に14日の育休を義務付け、この期間に父親になる教育が成される
・妊娠から出産まで全額保険負担、無痛分娩が8割
・個人シッターなど3歳未満保育が充実、3歳以上も国家教育省の幼年学校利用可
母親の負担を軽減する施策が豊富(*1)だ。赤子を連れての公共交通機関利用でも、周囲がケアしてくれて、新米お母さんが戸惑わなくてもいい雰囲気がある。そんな方向に、日本も持っていければと思う。
ただ、これまで日本の少子化対策であまり議論されてこなかったことが2点ある。そのひとつは移民の扱い。これについては、移民としてどういう人に来て欲しいかのコンセンサスを国民の間に形成する必要があろう(*2)。残った一つは、婚外子問題。
フランスでは特殊出生率は伸びたが、現在は婚外子が50%以上だという。婚外子にも平等の支援策があるので、子供が増えているのだ。ところが日本の少子化対策では、この点が含まれていない。結婚という形態になじまない人たちも、安心して子供が持てるよう支援すべきではなかろうか。「家庭」を重視する保守系の人達は「とんでもない」というかもしれないが、婚外子かどうかは子供の責任ではない。子供への投資が重要ということなら、是非婚外子も平等に支援して欲しい。