先日、陸上自衛隊で指揮官だった人らと、本件について話す機会があった。彼らが指摘したのは、民間人として完成した人だけでなく、もっと若い人を採用すべきだということだった。ある元陸将によれば、
・サイバー攻撃先進国(!)北朝鮮では、10歳前から素質ある子供をリクルート
・(他のことはどうでもいいから)サイバー能力を徹底的に磨かせ、戦力化する
とのこと。戦力になれば家族も含めて破格の待遇が得られるので、本人も家族も僥倖と考えて努力する。もちろん家族込みで、重囲の監視下に置かれるのだが。民間の有識者は、
・同じく先進国であるイスラエルでも、10歳前からのリクルートや英才教育は同じ
・戦力として使える時期が終わっても、技能を活かした起業につなげるサポートをする
と言っていた。イスラエル発のベンチャーが多く、世界に雄飛している例もまた多い理由はここにある。使い潰すまで戦術的に使う国と、次のステップを用意して二度三度国家に尽くしてくれとする国の違いが分かる。
ここで言っている戦力とは、恐らく戦術級のもの。具体的にはクラッキング(*1)能力を磨いて、システムの防御をかいくぐってマルウェアなど仕込み、情報を窃取したりシステムを機能不全に陥れる力のこと。あるいはそのような攻撃を検知し攻撃の意図を砕いて、情報を守りシステム機能を維持する力のことだ。
このようなサイバーソルジャーの育成開始は若ければ若いほど良く、義務教育が終わってからでは遅い。文科省に知られたら怒られてしまうだろうが、自衛隊サイバー部隊を強化するには、
・兵士のレベルは、義務教育中にリクルートした人材の育成が中心
・下士官クラスは、忠誠心含めた軍隊の常識があって、デジタルにも詳しい人材を充て
・指揮官(士官)クラスは、民間のCISO経験者なども交えて構成する
三段構えがいいだろう。その意味で、今回報道の「特定任期付自衛官制度」は、この3レベルを全部満足できるものなのだろうか?これからも機会あれば、関係者に聞いてみることにしたい。
*1:俗にハッキングというが、システムに侵入して破壊などする行為は正式にはクラッキングという