梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

MV-22オスプレイ生産終了

 まだ数百機が現役でいるし、生産終了は2026年とまだ先なのだが、ようやくMV-22オスプレイの生産終了が決まった。初飛行以来「未亡人製造機」と陰口を叩かれるほど、事故に見舞われた機体である。先日も屋久島沖に墜落、乗員の遺体回収が進んでいるが、当面世界中で飛行を自粛すると米軍が発表している。

 

 垂直上昇が可能で長い滑走路が不要、にもかかわらず通常のレシプロ機のように高速での水平飛行が可能という意欲的な設計のティルトローター機で、初飛行は1989年。輸送・救難・特殊作戦などの用途が期待されていた。ただ、垂直機動と水平機動の切り替え時に、空力特性が不安定になる瞬間がある。それゆえ基地の近くでの事故が多かったと思われる。

 

 普天間基地の危険性が議論されていた10年余り前、のちに防衛大臣に就く森本氏がオスプレイの図を示し「これが普天間にやってくる」と警告していたのを思い出す。米軍自身が「世界一危険な航空基地」と認める普天間オスプレイがやってきたらどうなるか?多くの人が不安を抱えていたが、幸いなことにこれまで普天間での事故は報告されていない。

 

普天間基地の危険性 - Cyber NINJA Archives (hatenadiary.com)

 

    


 この写真は、2019年に定宿である<ムーンオーシャン宜野湾>に滞在して、レンタサイクルで嘉数高台公園に行って写したもの。このくらい市民生活が近い軍用基地は、確かに少ないだろう。手前に1機、奥に数機のオスプレイが駐機している。

 

 生産終了時期の発表はあったが、米軍は2050年までこの機体を運用するという。オスプレイを小型化したようなティルトローター機V-280バローは、UH-60ブラックホークの後継であり、オスプレイの後継機が決まるのはまだ先になると識者が言う。MV-22オスプレイが不安定だったとの反省(の弁)はなく、ティルトローター機を新しく採用しようとしているわけだ。

 

 それだけ兵器運用上のメリットが多いと判断しているのだが、米軍以外はこの型の機体を開発・運用しているとは聞かない。空力学は専門ではないので確たることは言えないが、相変わらず少し空力特性に無理のある機体とは思っている。