今週はオーストラリアに来ている。荒れ模様で強風に豪雨が打ち付けるシドニー空港に、昨夜降り立った。市内のホテルに入って、ぐっすり眠りはしたものの、あしかけ4年ぶりの海外出張はけっこう堪える。この日は、中央駅から30分ほどのParramatta駅近くにある、Western Sydney大学にある「Cybersecurity Aid & Community Engagement:CACE」を訪問する。
サイバーセキュリティは重要だが、ビジネスとしては難しく、人材育成にも課題を残している。純粋な技術教育では、実社会で役に立つ人材は育てられない。そこで、産官学連携の形で進めているのが、
・無料Security Operation Center(SOC)を中小企業に提供
・専門家や教授陣の他、学生も実際にオペレーションに加わる実践教育
・政府資金も得、企業群(50社ほど)からの支援を得て運営
という取り組み。非常に興味があったので、その施設の運営者にインタビューしようというのが、今回の訪問目的。
迎えてくれた教授らは、やはり民間出身の人が多い。現にこのビルはビジネスとの連携目的の建物で、教育が主目的ではない。大手コンサル企業もオフィスを構えているし、日本の建設機械メーカーもいた。
まずこのような施設でサイバセキュリティを取り上げた理由を聞いた。すると「とにかく大学目当ての攻撃が酷い。なんらかの対策が必要で、それなら地域の企業の役にも立てる機関にしたいと思った」との回答。この大学はもともとは医学部から発祥していて、病院目当てのランサム攻撃対策は焦眉の急だった。
そこで、産官学連携のスキームを作るのだが、日本同様小さな組織(中小企業も病院等も)には、十分な資源が割り振れない。企業資金協力なども加えて廻すのだが、政府予算が不安定なのは日本と同じだ。
<続く>