梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

Western Sydney大学訪問(後編)

 小さなSOC部屋を設け、設備を整えている。最大6名の学生が作業にあたることができる。その部屋を見せてもらって、日本の状況も説明して議論した。興味を惹いた発言がいくつか、

 

・政府のWebサイトは、巨大だが役に立たない

・ソリューションは安ければ安いほどいい

・人材育成のキーは「サイバーセキュリティ・ビヘイビア」を学ぶこと

 

 日本でも政府機関の努力にもかかわらず、Webサイトを見てくれる企業は多くない。全く知らない企業が大半というと、同感との返事。2番目は、少々悩み深い。利用側からはそうだろうが、それだとオファーできないから安いものは消えて行ってしまう。3番目は、厳密な意味は分からないが、面白い発想。結局サイバーインシデントもヒトが起こして、ヒトが防ぐのだからビヘイビアはキーワードたり得る。

 

        

 

 その後、シャトルバスで20分ほどの郊外のキャンパスに移動。秋なので、モミジが美しい。そこで、まさにビヘイビア研究の研究者や、学部長クラスの人も混じってランチ会合になった。

 

 中小企業対策や人材育成については午前中に議論したので、ここでは大きな方針の話が印象に残った。オーストラリア政府の方針や産官学の動きも、日本と大きくは違わないことを認識し、私たちが日本でしていることを説明した。

 

・DXで儲けないと、サイバーセキュリティはコスト扱い、だからDX with Security

・セキュリティと利便性のバランスが重要、それは経営者の考え方が決める

・CISOの位置づけが企業価値を決める。DXや新事業にもリーチできるCISOが必要

 

    

 

 分厚いサーモンステーキを食べながら、ほぼ1時間半のランチミーティング、内容的にも厚みのある議論になった。両国のいろいろなレベルでの連携に向けた会話は、より頻繁に行いたいものだと思う。