今月「骨太方針2023」が閣議決定された。これは夏から始まる次年度予算折衝のベースとなるもので、ここに文言がないと新規の予算申請はまず通らない。この「方針」が導入された小泉内閣の頃はメディアも大きく取り上げ、担当大臣がジャーナリスト相手に激論するシーンもあった。しかし最近では、一般市民の注目度も高くない。
ある報道は「閣議は25分だけ」と、その軽さを伝えたくらいだ。政府予算に敏感な業界は、業界内にだけ影響する項目をコメント付きで発信している。多くの業界が参加している経団連では、
経団連:「骨太方針2023」・「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」に関する十倉会長コメント (2023-06-16) (keidanren.or.jp)
のように、おおむね評価をしながら「給付と負担、財源の在り方」を議論し実行せよと締めくくっている。やはり、基本的な財政論が希薄なのが気になるのだろう。そんな中で、ひとつだけ面白い記事を見つけた。
ここにいう「姑息な表現」というのは、経済財政一体改革の進め方として下記の文言が入っていることを示す。
「令和6年度予算において、本方針、骨太方針2022及び骨太方針2021に基づき、経済・
財政一体改革を着実に推進する」(P45)
これについては、ある識者から教えてもらった。骨太方針2021は菅内閣で決定したもの。この中には、財政健全化を忘れないとの主旨が含まれているのだ。それに基づくならば、安易な赤字国債を認めないと(予算折衝で財務省が)言えることになる。
「アベノミスクの遺産を食いつぶす」との主張には賛同できない。そもそも「遺産」があるのかとの疑念もある。しかし田村記者は、キーになる言葉はちゃんと見ておられたことになる。全45ページの「骨太の方針」を<ワードクラウド>の手法で分析し、昨年に比べてAが増えBが減った・・・とする記事もあったが、最終ページに入っているこの一文を見つけるのが、プロの目である。