「生成AI」が華々しく登場し、普通にWebブラウザでも使えるようになって、様々な分野での活用やそれと並行した危惧が伝えられている。最近購読を始めた<MIT Technology Review>でも、人気記事の上位はAI関連が常に占めている。
今でこそ、研究機関や企業は「AI活用」にニュースバリューがあるのでそれを宣伝するが、AI活用が普通に行われるようになり、かつ欧州のハイリスクAI規制のように縛りがかけられるようになると、AI活用を公表しなくなるだろう。場合によっては、隠すこともあるかもしれない。ちょっとSFっぽくなるが、こんなシーンも。
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官憲:この企業で「隠れAI開発」をしていると通報があった。○○システムを査察する。
企業:確かに高性能のコンピュータを導入し、△△の効率化を図っています。しかしAIと呼べるようなものではありません。
官憲:こんなに膨大なデータを集めて、リアルタイム処理を改善しているではないか。
企業:いえいえ、データを活用してルールベースの書き換えを早くしてはいますが、AIの域には達していませんよ。
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このケースでは、AIを法的に定義していなければ、官憲の追及は及ばない可能性が高い。毎回裁判所に持ち込み、デジタルのプロでもない裁判官が、ソースコードを眺めながら判決を下すようなことは現実的ではなかろう。法的な定義というのは寡聞にして知らないが、過去にもいくつか「AIの定義」を論じた例はある。
1995年頃「一般的に推論や学習などの人間の知能に関連する機能を実行する機能ユニットの機能」とする見解が出ている。近年になってISOが「知識とスキルを取得、処理、適用するための設計されたシステムの機能」と提案したこともあるが、これでは不十分とした欧州委員会が「AIはデータ・アルゴリズム・コンピュータの能力を結合する技術の集合体」と言い始めた。これはいくら何でも広すぎ、通常のシステムすべてが含まれてしまう。
<続く>