昨日に続いてAI関連の話題。AI活用は、ホワイトカラー層の雇用を奪うとされる。ゴールドマン・サックスのトレーダーが、AI導入で600⇒2名になったのがその典型例。放置すればごく一部のAIを駆使できる人と、その他の人の格差が広がると懸念されている。そこで、ベーシック・インカム(BI)のような制度が必要だとの議論はある。
BIか否かは別にして、何らかの補償をAIによって仕事を失ったり、収入を減らされたりした人にするとしたら、その原資はどうするのか?ひとつの考え方として、AI課税があり得る。
コラム:急速進化のAI、課税に抜け穴だらけの現実 | ロイター (reuters.com)
のような意見は以前からあった。そして先週、日本を訪れているコロンビア大学のスティグリッツ教授が、日経のインタビューに応えてAI課税を考えるべしと主張(*1)した。
AI課税の議論をするなら、私は何度か紹介しているように「AIの定義」をちゃんとしてもらう必要がある。自社ではAI活用をしていないつもりでも、納入されたソフトウェアの一部がAI製だったら課税(!)というのでは困る。
昨日紹介したベンチャー創業者に「AIの定義」を聞いたが、
「いずれ全システムはAIになるので、別に定義は気にしていません」
といなされてしまった。それじゃ欧州の「AI Act」はどうなるのかと悩んでいたら、ある巨大IT所属の人物が、
「欧州委員会はGAFAMだけを対象としているから、一般企業は心配いりません」
と教えてくれた。しかし規制はともかく、課税となるとGAFAMだけということはあるまい。AI開発・サービス提供企業は課税されても仕方ないかもしれないが、インターネット上のサービスを使ったら、その一部にAIが使われていて・・・はやはり問題。「いずれ全部AI」になるのなら、AI課税とは結局新しい法人税項目になってしまう。
この論点、引き続き識者に聞いて回ることにしたい。