先々週のNHK「日曜討論」で、実業家/著述家の冨山和彦氏が「M&Aで事業が優れた経営者のもとに集まれば、課題の多くは解決する」と発言していた。課題の中には「DX with Security」も含まれているに違いない。以前経済財政諮問会議委員だったデーヴィッド・アトキンソン氏が「小規模企業は、小さいことそのものが問題」と発言して物議を醸したが、言い方の違いこそあれ同様の指摘であり、真実だと思う。
実際私の提唱する「複数企業のクラウド共同利用」は、企業が大きくなれない場合の苦肉の策で、M&Aで大きくなれるならそれが一番いい。問題は、どうやって中小企業のM&Aを促進するかだと思っていた。前出冨山氏は「事業承継に悩むなら、適切な売却先を考えるべし」とオーナー社長に提案している。しかしこれでは、世代交代の時にしか大きくなれない。そう思っていたら、こんな記事を見つけた。
従業員2000人以下を「中堅企業」に 政府が重点支援へ - 日本経済新聞 (nikkei.com)
大企業と中小の間に「中堅企業」新設検討 従業員2千人以下 - 産経ニュース (sankei.com)
併せて読んでみると、今は大企業のうちでも比較的規模の小さい企業や、中小企業のうちでも比較的規模の大きい企業を「中堅企業」という新しいジャンルにするということ。従業員2,000人を超えると生産性が向上するともいい、「中堅企業」を重点的に支援することで、規模を大きくして大企業入りを早めたい政策と読める。
対象は1,400社との記述もあって、推測するに従業員1,000~2,000人のゾーンが対象のようだ。次に、昨日論じた売上規模でどのあたりになるかを考えてみる。これも業種・業態の違いがあってあくまで目安だが、日本企業の一人当たり年間売上高の中央値は、約3,500万円。上記のゾーンは、350~700億円ということになる。昨日「欲を言えば300億円の規模が欲しい」といった企業群に近いのが、今回重点支援対象として議論される「中堅企業」ともいえる。
<続く>