梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

「中堅企業」支援の方向性(3/終)

 では「中堅企業」と指定されると、何が優遇されるのか?それについては<産業競争力強化法>を改正するということしか、記事からは読み取れない。そもそも大企業の中小企業の違いとは、税法上は「資本金が1億円以下かどうか」である。昨今の「COVID-19」禍で、大企業が税制の優遇などを受けるために「減資」をしたことがあった。総務省は、これらは外形標準課税逃れ等だとして、制度改正を検討している。

 

大企業の「資本金を1億円以下に減らして節税」の動きに総務省が「待った!」…何が問題なのか【弁護士が解説】(THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン)) - Yahoo!ニュース

 

    

 

 「減資」は目立つケースだが、中小企業としての(この記事に言う)優遇を受け続けるため、大企業になりたくない中小企業経営者は少なくない。私としては、税制の簡素化を進めるため、個人事業者にインボイス導入を勧めたように、中小企業にも外形標準課税をするべきだ(*1)と思っている。

 

 それはさておき、今回の経産省の「中堅企業優遇策」で、中堅企業であることに安住してしまって、従業員2,000名を越えないように採用調整をするようでは、政策の主旨と反対の結果になってしまう。したがって、どのような優遇策を採るにしても、

 

・規模を大きくする意志を持っている企業(経営者)に限る

・何年で中堅企業を脱して大企業になるかを計画させ、進捗をフォローする

・Goalが近づくにつれ、段階的に優遇を縮小する

・進捗がはかばかしくない場合は、優遇を打ち切る

 

 ことが必要だと思う。加えて(私が勝手に推測したのだが)従業員が1,000名より少ない企業でも、ロングスパンの規模拡大計画が妥当なら、優遇して欲しいと思う。例えば今は従業員500名、売上高200億円だが、10年かけて従業員2,500名、売上高1,000億円を目指すという積極的な経営者のようなケースだ。

 

 「中堅企業」という新しい区分と優遇策、私は「DX with Security」の視点から注目していくことにしたい。

 

*1:中小企業の外形標準課税 - 梶浦敏範【公式】ブログ (hatenablog.jp)