「サイバー空間には国境がない」と、Global & Digitalを推進する私たちデジタル政策を担当する者たちは言い続けてきた。しかし、この空間には従来の国家主権が届かないゆえに、
・法秩序が不十分で、無法地帯に
・国家の基幹たる課税権にも課題をもたらす
状況にある。特に最後の点については、
反新自由主義ならば考えて欲しい - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)
の書にもあるように、本来その国が得るべき税金が他に収奪(*1)されている。これが、今週紹介した「デジタル課税論」につながってくる。
デジタル課税の遅れはいいとして - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)
で紹介したように、収奪に悩む欧州諸国が中心になって進め、昨年締結するはずだった巨大ITらに課税するデジタル課税は、まだ成立していない。また欧州委員会が示した素案が巨大ITに限らず多くのグローバル企業を対象にするものになっているのも、課税問題の本質はタックスヘヴンなどを含むGlogbal問題であって、Digitalはあとで付けたことを示している。
また、国境を越えるサイバー攻撃が増えている現状では、どこに(国境の)防衛線をひくのかという問題がある。国連のOEWG(*2)では、この問題について一昨年から議論を重ねてきたと、これにオブザーバ参加している民間研究者は言う。国境を越える攻撃を禁止しようとする議論が活発でだが、全会一致でないと決められないのが国連という場の難しさ。恐らくこのようなテンポラリな会合では結論を出せないので、恒久的な議論の場を作ろうとの動きもある。
そもそもサイバー空間にどうやって国境を引くのかという、根本問題には議論が至っていないようだ。
<続く>
*1:シンガポール、香港が高く、欧州諸国も軒並み20%ほどの損失
*2:Open Ended Working Group