梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

「ボスが来たボタン」は無意味

 あるメディアの企画で、クライアント管理ツールを主力製品としている企業の役員と対談することになった。同社の製品は「COVID-19」禍でテレワークが爆発的に増えた時期に市場を広げ、タクシー車内でのCMなどよく見かけるようになっている。

 

テレワーク状況を管理する? - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 今も順調に事業は伸びているようだが、CM等の効果でIT部門やセキュリティ部門にはアピールできても、まだ経営者へのアピールが足りないとの意識がおありのようだ。そこにメディアが「経営視点のセキュリティ議論をしましょう」と持ち掛け、何人かの専門家と企業幹部の連続対談を企画したという次第。

 

        

 

 私からは、サイバーセキュリティは経営課題・サプライチェーンリスクへの対応・中小企業における課題・DX with Securityはなぜ必要かなどをお話しした。先方からは、多くの中小を含む企業での現場体験から、クラウド利用の課題・PC/モバイル管理の実態・人材獲得の課題などの説明があった。

 

 1.5時間ほどの対談を終わり、写真撮影をしながらの雑談で、少し聞きづらいことを聞いてみた。それは、どこにいようがPC操作画面をモニタされているので、監視ソフトだという批判はないかというもの。

 

 かつて(Macだったか)「ボスが来たボタン」がキーボードにあり、執務中ゲームなどしていて、上司の姿が見えた時このボタンを押せば、ワーク画面(例えば表計算)になってくれた。貴社のツールは「そんなボタンも無意味にするものですね」と尋ねた。

 

 すると「いや従業員にとってもメリットがあるのです。就業時間外に急にやった作業もログがあるので、残業時間にカウントできます。リアル監視というよりログなのです」との回答だった。その後の会話で、日本のホワイトカラーがジョブ型・成果主義ではなく、実質時間給だというのが結論になった。

 

 欧米なら非難されそうなクライアント管理ツールが日本では普及しつつあることは、独特な「働き方」に起因しているようだ。