梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

ステマ&インフルエンサー規制

 広告ではないのだが、実際は企業や製品を宣伝している内容のTV番組などは以前からある。最新作が公開された「あぶない刑事」シリーズの例では、ニッサンがスポンサーでタカ&ユージが日産レパードで疾走するシーンが良く観られた。「NCIS」ではギブス捜査官がスタバのコーヒーを、ラベルが良く見えるように飲んでいる。

 

 映画やTVドラマなどはまだ数が限られていたが、動画SNSの登場でこの種の映像が急増している。自分と同じ消費者の感想だと思って動画を見ていたのだが、実はスポンサーが付いていた広告だった・・・というのは「ステルスマーケティングステマ)」とされる。

 

 程度の問題もあるが、各国でステマは規制(*1)の対象となっている。日本でも2023年10月から、

 

    

 

景品表示法で、広告であるが一般消費者が広告であると分からないものを規制

・TV、新聞、雑誌等の表示に加え、インターネット上のSNS投稿、レビュー投稿も対象

 

 である。ただ、この規制は事業者を対象とするもので、依頼など受けて動画で宣伝行為をしたインフルエンサーには適用されていない。でも実際に消費者に訴えかけているのは彼らなのだから、何かタガをはめるべきではないかと思っていた。すると、スペインでインフルエンサー自身を規制する法律ができたという。

 

消費者を守れ!スペインでインフルエンサー法承認 |スペインあれこれつまみ食い|World Voice|ニューズウィーク日本版 (newsweekjapan.jp)

 

 年収30万ユーロ以上、フォロワー100万人以上、年間24本以上投稿などの条件に合致するインフルエンサーが、広告であることを明示せず、タバコ・薬品など禁止品を扱ったり、消費者保護をしなかった場合、最大5万ユーロの罰金というもの。

 

 スペインではインフルエンサーは人気の職業だそうで、乱立・過当競争で過激化しているのかもしれない。この動き、早晩他の国にも広がっていくと思われる。

 

*1:ステルスマーケティング - Wikipedia