このところ、国際刑事裁判所(ICC)関連の記事が多い。ICCは、戦争犯罪、人道に対する罪、ジェノサイドの3つを取り締まる国際機関。それだけ国際情勢が緊迫化している証拠だが、
→ ロシアが反発し裁判官を脅迫
→ 米国が反発し、ICC自身に制裁も
とICCの活動が波紋を広げている。ただ、米国もロシアも中国も加盟していないし、執行は加盟国の治安機関に委ねられるので、戦争犯罪者として逮捕状が出ても実害はそれほどでもない。
この3つの犯罪行為は、リアル空間でのことだと思っていたら、サイバー攻撃も戦争犯罪の疑いがあるとの記事が出た。
ICC、ウクライナへのサイバー攻撃を戦争犯罪の疑いで捜査=関係筋 | ロイター (reuters.com)
捜査しているのは、ウクライナの重要インフラへのロシアからの攻撃。電力・水道・通信や各種サービスを非機能化することは戦争犯罪の疑いがあるという。市民の生命に直結するような脅威だからだろう。同じサイバー攻撃でも、フィッシング詐欺とは重みが違うのだ。その中間あたりにあるのが、病院などを狙うランサムウェア。政治目的ではなく金銭狙いだが、人命に関わることもある。
ロシアのサイバー攻撃は、2007年にエストニアの電子政府を狙ったものに始まり、紛争のたびに行われてきた。クリミア併合以後、弱い電力インフラをもつウクライナには再三の攻撃を加えている。2022年2月の侵攻にあたっても、政府システムや電力インフラへの攻撃があった。米国企業などの協力で、これを予期していたウクライナ側は被害を最小限に抑えている。
ロシアに限らず、サイバー攻撃を「低強度紛争」の手段として使う国は少なくない。例えばイランとイスラエルは、水道システムへの攻撃をやりあって(*1)いる。実際に手を汚してジェノサイドなどしなくても、戦争犯罪に問われる。そんな時代になったのである。