梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

2024-06-01から1ヶ月間の記事一覧

被害体験を風化させぬため

この日は、大手SIer企業の本社ビルにやってきた。この企業は数年前に情報漏洩事故を起こしてしまい、メディアにも厳しく責められた経験がある。内外に事件の経緯、自社としての反省、再発防止策などを内外に繰り返し示し、信頼回復に努められた。事故を起こ…

執拗な攻撃・・・その動機は?

先週から、ドワンゴが運営する<ニコニコ動画>が停止している。原因は配信用システムなどがランサムウェアに感染し、機能を停止したためと伝えられる。ただ今回のサイバー攻撃は、よくある「当たれば儲けもの、身代金目当て」型の犯罪ではないようだ。 ラン…

ジョブ型雇用と時価会計での給与

政府の努力というよりは、純粋に人手不足要因から大手企業では給与体系の見直しが始まっている。もちろんコストカットだけではなく、賃金UPにつながるものも多い。 ・初任給のUP、特にITエンジニアなどで破格のケースも ・年功序列賃金体系の見直し、中堅層…

みんなのお財布を守る警察活動

先日、警察庁サイバー警察局の「SIMスワップ対策」とその効果を紹介(*1)したのだが、その話をしてくれた警察庁の人が、この本を送ってくれた。かのエピソードを含め、警察庁が尽力している「デジタル時代にみんなのお財布を守る活動」の紹介冊子である。 …

サイバー攻撃も戦争犯罪に

このところ、国際刑事裁判所(ICC)関連の記事が多い。ICCは、戦争犯罪、人道に対する罪、ジェノサイドの3つを取り締まる国際機関。それだけ国際情勢が緊迫化している証拠だが、 ・プーチン大統領に、戦争犯罪容疑での逮捕状 → ロシアが反発し裁判官を脅迫 …

本当の「政治改革」はここから?

デジタル政策の世界に20年以上身を置いていて、一番悩んでいるのは「政治の世界自体がアナログ」なこと。マイナンバーの活用が進まないとか、紙の書類による申請が義務付けられているとか、表面上の議論は多いが本質には届いていない。選挙だって、ポスター…

「Apple Intelligence」という回答

今週、AI分野で出遅れが目立つ(*1)とされてきたアップルが、AI関連の発表を行って、株価が上昇している(*2)。発表内容に意外性はなかったとの評判が多く、 ・重要なところを「狙撃」するように、最小投資で最大効果を得る ・他のものを最大限に利用、Ope…

ライドシェアの名を借りた地域助成

タクシー業界におもねったとしか見えない「日本版ライドシェア*1」が始まって、2ヵ月余りがたった。全国一斉スタートではなかったこともあって、利用実績のデータなどはまだ整っていない。EBPMの観点からすれば、データを採る努力も必要なのだが、それも十…

空中基地局、期待とちょっとの不安

家庭のWiFiには2つの周波数帯、2.4GHzと5GHzがある。前者は速度が遅く、干渉を受けやすい代わりにドアや薄い壁をすり抜ける(回折する)ことができる。後者は速度が速く干渉も受けにくいが、遮蔽物に弱い。私はルータが見えるところにデスクトップPCなどを…

平均年俸2億円、その役割とは?

今世代のAIはすでに研究開発の域を出て、適用分野拡大のフェーズに入った。これまでも、軍事利用含めてさまざまなAI利用アプリケーションを紹介してきたが、さてその企業内マネジメントはどうなっているだろうか?今回<Forbes誌>の記事で、面白いものがあ…

SIMスワップ対策は本人確認強化で

このところ世間を騒がせている犯罪手口の一つが「SIMスワップ」というもの。携帯電話のSIMを勝手に更新され、自分の携帯は使えなくなり、犯人の手元には自分の携帯が残ってしまうというものだ。犯人はその携帯を悪用し、高額な買い物をしたり、電子マネーチ…

秘密主義の軍事向けAIユニコーン

戦争というものは膨大な資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を喰う。地球のあちこちで紛争が起きたり緊張が高まったりしているから、各国の軍事費が増えるのは当然のこと。2023年の世界中の軍事費は、過去最高の2.4兆ドルに上った(*1)という。 その(軍事リソ…

影の内閣を支えるもの

日本より一足先に、政権交代の可能性のある選挙に突入した英国。与党保守党は、18歳からの徴兵制度復活(*1)や年金受給者への減税などを打ち出して、これまでの、 ・環境問題への取り組み減速 ・不法移民の強制出国 政策などと合わせて支持拡大を狙っている…

国際機関の独立性が危うい

寡聞にして、国際刑事裁判所(International Criminal Court:ICC)という機関があって、容疑者を指名手配することができることは知らなかった。国際刑事警察機構(International Criminal Police Organization:ICPO)は各国警察の調整・連絡機関で、実効的…

次世代の「切符」はどうなる?

多くの日本人にとって<ICカード乗車券>は、毎日使う必須アイテム。2001年のJR東日本でのサービス開始から20年以上かけて、JR、私鉄、バス等の切符としてだけでなく、ショッピングや飲食等での決済にも使われるようになってきた。専用ICカード<OKICA>しか…