先週の日銀政策決定会合に、多少の期待はしていたのだが、結局裏切られた。政策金利は「ゼロ金利」のまま据え置かれてしまった。せっかく米欧の中央銀行が政策金利上げをしないで円高傾向になっていたのに、1日で2円ほど円安が進んでしまった。
円が安いということは、日本人の資産が目減りしているということ。これを容認しているのは、中央銀行としての怠慢だと私は思う。ただ来年度予算案を見ると、国債の想定金利は1.9%だという。利払いの総額は、20兆円ほどになると財務省は見ているわけだ。予算通りなら、来年末には政策金利は2%ほどになっていても、おかしくない。
ただ20兆円の支出(今年度から10兆円は増える)は、いつかは増税して賄わなくてはいけない。国債金利やその余波で預金金利が上がって潤う市民もいるだろうが、それは国債などの資産を持っている人に限られる。
格差是正とか、住民税非課税世帯への給付とかいって、消費税は上げないで市民を守りますよと言っているのだが、実質「持てる者、持たざる者の格差」を広げる政策になっているように思う。自民党の裏金問題などあって、岸田内閣の支持率は急落し回復の兆しはない。政治環境としては総選挙を封じて、いけるとことまで行きたいのだろうが、
「支持率10%台の政権に、法律や予算を作らせるな」
との声は、妙に説得力を持って聞こえてくる。ただ、各国政府も岸田政権と同じように低支持率に悩んでいる。英国スナク政権は、もう次の選挙をあきらめてしまい、コアな支持層に受ける政策を連発(EV先送りや移民強制送還)しているし、独ショルツ政権も600億ユーロの予算削減で、連立与党全てを満足させる予算配分は出来ないでいる。結局、自分の支持者に気に入ってもらえる政策にシフトせざるを得ない。
ならば、岸田政権も居直って、原発推進・防衛増税などやりたいことをやってしまうという選択肢もある。願わくば、その中に人為的な円安政策転換も入れて欲しいと思うのだが・・・。