梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

中央行政の内部文書管理

 放送法を巡る安倍政権での圧力問題は、知らないうちにうやむやに。総務省から内部文書を入手して火をつけた立憲民主小西議員が、「サル発言」で追及されて不思議な終わり方をした。渦中の人だった高市大臣は、一身に火の粉を浴びて予算案審議を援護(?)したMVPとする評価もあるくらいだ。

 

 ところが、今度は内閣府から「新原ペーパー」なる文書が立憲民主党杉尾議員の手に入って、国会で追及の対象になっている。

 

【独自入手】「三浦瑠麗は少なくとも替える」“菊池桃子の夫”官邸官僚の「越権文書」公開(NEWSポストセブン) - Yahoo!ニュース

 

    

 

 この記事では「越権文書」となっているが、報道内容を見ると通常の「意見具申」レベルのもの。菅内閣から岸田内閣に替わり、種々の体制も変更になる。岸田新総理の構想を議論し実現するため、閣僚や内閣府の要員、審議会等の民間委員の変更は当然だし、その素案を具申することは官僚の務めである。

 

 それをどう問題視するのかというと、

 

経団連十倉会長から高級ワインが贈られて、宴会モードだった

・新しい会議に、文書に名前の出る委員が外れ、十倉会長らが入った

 

 というようなもので、いかにも官僚が内閣を牛耳っているかのように書かれている。この記事のトーンには、私は賛同できない。ここで名前の挙がった新原審議官だが、20年前に一度会っている。経産省商務情報政策局情報経済課長だったころで、「IT書面一括法」を挙げるため不眠不休の努力をしていた時だった。私自身も当時検討中の「e文書法」に関与していたため、意見交換をさせてもらったのだ。

 

 彼は日経新聞社から「日本の優秀企業研究:企業経営の原点~6つの条件」という書籍を出版していて、私は「課長クラスともなれば、企業TOPにインタビューできるのだ」とその影響力を理解した。

 

 その後有名タレントと結婚したことで注目されたようだが、熱意ある官僚だとの印象は変わらない。この問題の本質は、総務省内部文書と合わせて中央行政の文書管理に課題があるということと、それをメディアが正しく伝えているかという2点にあると思う。