このところ、国際情勢の緊張やサイバー犯罪の増加によって、サイバーセキュリティ関連の情報が多くなってきた。新聞に知人の名前が載ることも増え、関連書籍の出版も急増している。今月は、2冊新刊書を送っていただいた。1冊目は、NTTHDのCISOである横浜信一氏の「サイバーセキュリティ戦記」。昨年流れた「日本のサイバーセキュリティレベルは低いんだってね」との評価に対し、軍事的な意味でのそれはともかく日本企業のレベルは低くないと反論した人だ。
日本企業も捨てたものではないよ! - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)
本書も、そんな意図もあって出版されたものと思う。
もう1冊は横浜氏のチームの一員、松原実穂子氏の「ウクライナのサイバー戦争」。
ハイブリッド戦争の最前線 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)
現代のハイブリッド戦がどのように行われているか、日本の「Active Cyber Defense」をどうすればいいか、ヒントの詰まったレポートである。防衛三文書改訂に反対の人も含めて、現在の(軍事的な意味での)サイバー空間の危険性を知って欲しいのだが、そのためには最適な書(*1)と考えられる。
NTTグループは従業員34万人、年間売上約13兆円の巨大企業。かつては電々公社という国営企業で、今でも国が一定の株式を保有している。通信インフラという平時はもちろん有事にも貴重な機能をもっているゆえに、サイバーセキュリティの能力は日本随一といってもいいだろう。横浜氏の著書では、NTTグループの中で際立ったサイバーセキュリティ能力を持った10名が紹介されている。
加えてこの著者お二人で12名。まさに「NTTグループのIntelligent Dozen」とも言える人たちである。これからも、長くお付き合いいただきたいと思っている。
*1:Aspen Instituteのレポートもあるが、それよりはずっと読みやすい。