日本でもセキュリティをビジネスにしようとすると、顧客のIT部門との軋轢があり、IT部門が納得してくれても、管理部門という壁があったことを説明した。それを乗り越えるには「サイバーセキュリティは経営課題」だとCEOに理解してもらうことだ。経団連や政府機関は、このメッセージを出し続けた。特に台湾との連携においては、サプライチェーンリスクへの対応があることも説明した。
最後にセキュリティベンダーへの期待は「社会の安全を守るとともに健全なビジネスとして発展を続けること」とした。具体的には、次の4点を挙げた。
・生成AIに代表される、新しい技術とリスクにも対応
・オペレーションの自動化など、運用側の負担軽減
・地域企業に浸透するための「Last One Mile」の開拓
・国際的なものを含めた、各種機関との連携強化
その次には、友人でもあるITRIの卓博士(*1)が登壇し「台湾情報安全産業の発展現状」を説明してくれた。続いて九州大学櫻井教授が講演し、あとはセキュリティベンダーの紹介に移っていった。
多くは自社のソリューション紹介だが、1社だけ「ソリューションの内容紹介はしません。それがユーザの何に役に立つのかだけ話します」と言った企業があった。セキュリティオペレーションの自動化をAIで実現していて、どのくらいの省力化や迅速化がかのうかを数字で示していた。
休憩時間に予定外のTV局の取材も受けた。日台連携は中国包囲網かと聞かれたので、
・日本企業も中国市場に大きなシェアを持つ。デカップリングは現実的ではない。
・セキュリティの考えやその基になるデータ活用について、中国はちょっと異なる。
・日台(+韓)はセキュリティ(&データ活用)で連携するいいパートナである。
と応えた。半日のイベントはあっという間に終わり心地よい疲労が残った。韓国もそうだが、国内で十分な市場がないため政府も一丸となって海外への売り込みをする。台湾の官民連携には学ぶところも多かった。このようなイベント含め、国際交流が進むことを祈りたい。
*1:卓博士(Ares Chan)は先月の日豪対話のイベントにもオンライン参加してくれている。