「公共放送NHKは、皆様の受信料で成り立っています」
進学、就職、転勤などの多いシーズンになると、よくこのメッセージが聞かれる。転居してもちゃんと受信料を払ってくださいねという意味だが、住居によって視聴者を識別するのは難しい時代になってきている。NHKはすでに<NHKプラス>というインターネット上の動画配信サービスを無料提供していて、ニュース番組などをスマホ、PC等で視聴できるのだ。
視聴者の条件は「受信料を払っていること」だが、そのチェックは行われていない。マイナンバーやクレジットカード番号、銀行口座の紐づけなどはしていないのだ。そこで、タダ乗りの視聴者対策として、放送法を改訂しネット配信もNHKの本来業務に位置付け、視聴料を取ろうという動きがある。
NHKネット視聴に負担を 放送法改正で本来業務に 自民提言案 - 産経ニュース (sankei.com)
この記事を見て、懐かしい言葉を思い出した。それは「放送と通信の融合」。私がデジタル政策に関わり始めた21世紀初頭から議論されてきたことだった。技術の進歩でこれらの融合は避けられないが、法体系(*1)が異なるので社会のそこかしこに矛盾が出るという内容だった。
それから足掛け20年、まだこんな問題が残っていたのかと驚いた次第。TV視聴とネット視聴で、片方が無料と差をつけるのが好ましくないのは確か。しかしそれならば視聴料は等しく、家庭ではなく個人にかけるべきではないか?スマホの普及率が非常に高くなっている今、一定年齢以上の国民(在留外国人も含む)に等しく負担してもらうのが公平だと思う。
これも「憲法は個人を尊重せず、家庭を前提としている」という憲法改正の議論をまたないといけないというのでは、ますます「法的融合」が遅れてしまうような気がするのだが・・・。
*1:どちらも総務省管轄だが、放送は放送法、通信は電気通信事業法と法令が異なる。一般的には通信の方が大きな概念で、放送はその中に含まれると考えられる。