台日サイバーセキュリティ協力会議がこの日に設定されたのは、台北で大きなイベントがあり関係者が集まりやすかったからだと、スケジュールを決めた後で聞いた。そのイベントとは「SEMICON TAIWAN 2023」。半導体関連産業が一堂に会する、世界最大のイベントだという。
南港博覧会場で行われていて、私たちも招待された。かつて国鉄の松山駅があったエリアの再開発はすでに紹介したが、台北中央駅から見て次の駅である南港駅周辺も、古い倉庫街などをリニューアルし、ベンチャー拠点などに変貌している。ベンチャー支援を担当するITRIの台北オフィスも、このエリアにある。
MODAのブースに案内されたが、やはり多くの半導体関連ベンチャーが出展していた。「SECPAAS:Security Platform as a Serveice」を掲げたそのブースで、製品のサイバーセキュリティをテーマにミニセッションをする。そこに当シンクタンクの研究員も参加することになっていた。座席数は15名分くらいしかないが、パネルディスカッションの形態で50インチほどのスクリーンも用意してくれた。司会はITRIの女性、もうひとりのパネリストは台湾でも有名なセキュリティ技術者だという。
IoT技術が非常に多くの機器に導入されていて、小さく安い機器でも普通にインターネットに繋がっているのが現状。当シンクタンクの研究員は、インテリジェント家電に関する消費者の意識と意識されていないサイバーリスクを紹介した。台湾側の技術者は、IoT機器そのもののリスクやその回避方法などを説明して、司会が投げる質問についての議論が始まった。
ずっと聞いているつもりだったが、ITRIの人が私を呼んでいる。紹介されたのは、台湾で一番との触れ込みのAIベンチャー。サイバーセキュリティの対応を(人手によらず)自動化して、機械対機械の戦いにする先端技術が売りだという。
その後も、オランダの半導体製造装置メーカーや高電圧に耐えるパワー半導体のブースを見学した。半導体技術そのものとは数十年縁がないので、ぼんやりしか分からないのだが、会場の熱気だけは感じた。日本の産業がどうなるかは不明だが、世界で再度半導体ブームが来ることは確からしい。