いわゆる「ジャニーズ問題」については、同事務所が再起をかけると表明した内容について、賛否が分かれている。
・辞任した社長が100%株式を持っていること
・ジャニーズの名前を残したこと
・今でも芸能界で強力な影響力を持っていること
など、一般の資本主義産業界では、考えにくいことが起きている。さすがに大手(&グローバル)企業では同事務所のタレントをCM等に起用しないとの発表が相次いでいるが、メディアはまだどっちつかずのスタンスが多い(*1)。
問題が表面化したのは、やはり英国BBCの追及が大きかった。純粋に日本のメディアだけだったら、ここまでの騒ぎにはならなかっただろう。日本メディアの中には「事後従犯」的なところもあったように思う。
同事務所がどれだけの力を持っているかは、素人の私には判断のしようもないが、少なくともこの問題が加害者の生前に表面化しなかったことについては、日本人の「未成年者からの性的搾取罪」についての甘さがある。
欧米ではこれが重犯罪だということが、あまり知られていないと思った例は以前にもある。デジタル庁の初代デジタル監に、元MITメディアラボ長の伊藤穣一氏(現千葉工業大学学長)を推す声があった時だ。氏の研究者・実業家としての知見には敬意を払いながら、MITラボ長を辞めるきっかけとなった事件(*2)もあって、デジタル監就任は国際的に認められないだろうと思った。
よく発展途上国の人が「欧米先進国の支援は欲しいが、その価値観(民主主義・人権等)を押し付けられると面倒くさい。うるさく言わない中国やロシアに支援を求めるのはそういう理由」と言う。日本人の潜在意識にも、これに似たようなものがあるのかもしれない。しかし少なくとも日本の経営者は、大きな市場である欧米では「未成年者からの性搾取は凶悪犯罪、黙認も含めて関わったものは白眼視される」ことを知っておくべきである。仮に自社がグローバル企業でなくても、同事務所に関わるとどういう形か分からないが、リスクを負うことになるのだから。
*1:「いまこそジャニーズを応援!」という輩もいる
*2:児童性犯罪者からの献金を受けていたこと