国交省の関係で、土木工学・地学関係の先生たちと意見交換する機会があった。このところ世界規模で大災害が頻発しているが、この先生たちから見ると「まだ序の口」なのだそうだ。日本社会にとってのリスクとして、
・東南海沖地震
・富士山噴火
・首都圏直下型地震
は3つの最大級のもの。いずれも30年以内には、必ず起きると仰る。多くの犠牲者が出るし、日本経済にとっても大打撃だ。これをきっかけに日本売りが起きて、日本は二流国に転落するかもしれない。しかるに、社会としての備えは全く不十分というのが先生方の一致した意見だ。いわく、
・建物の耐震化率は数字の上では進んでいるが、それは空家が増え母数が減ったから
・復興の中核になるべき建物(例:商工会議所)が、耐震化されていない
・種々のインフラが個別対策に留まり、相互連携した対策となっていない
とのこと。そこまでは専門外のことなのでただ聞いていただけだったが、議論が深まってくると、
・技術はそれなりにあるし、国交省も支援してくれて開発も継続している
・ただし災害対策の主力は民間で、その危機感が薄く対策の普及が進まない
・進まない理由の大きなものとしては、対策費用や時間を掛けたくないこと
・特に地域(防災)の意識が低いのが問題、国交省は地方整備局など使って啓蒙せよ
となってきて、これはリスクの部分を自然災害ではなくサイバー攻撃に替えてもまったく同じだと感じた。そこで私は「国土強靭化含めて、デジタルツィンの手法が政府からも提案されている。確かに役立つのだが、逆に新しいリスクも産む」と申し上げた。
・平時でも大災害が発生したと思わせるような攻撃
・災害時にこの混乱を増幅させるような攻撃
があることを前提にデジタルツィンを作る(DX with Security)べしとした上で、昨今のクライナ侵攻や仮想敵国に対する選挙介入などサイバー空間でのリスクは高まっている。ご提案のあった最大級の自然災害よりも「確実に起きる、そこにある危機」だと述べたかった。権威ある先生方に失礼と思い、最後のところはセリフを呑み込んだのだが、想いは代わっていない。一緒にリスクマネジメントを検討させてもらえればと、切に思う会合だった。