1週間前にメールが入り、英国王立防衛安全保障研究所(RUSI*1)の研究フェローが会いたいといって来た。オンライン会議かと思ったら、サイバーセキュリティの国際会議で来日していて、その期間にどこかで会えないかというものだった。
日時を決めて、オフィスで相棒と迎えたのだが、2m近い身長の青年。当オフィスの低い天井では、頭がつっかえそうだ。なんとか椅子に座ってもらい、まずはお互いのスタンスの紹介。RUSIについては、時折国際ニュースで見かけるほか、英国大使館からも紹介を受けたことがある。安全保障が中心の研究機関で、ウクライナ紛争以後多忙なようだ。
彼の訪問主旨は、日英連携に関する日本産業界の考えを聞きたいというもの。ざっと日本の産業界、経団連WGや重要インフラ企業の対応など話した後、大手では少しはサイバー対策を進めているが、未だにサイバーセキュリティを「我が事(*2)」と捉えていない経営者が少なくないと言った。
取り組みが進まない理由は何かと聞くので「日本の経営者はデジタルに昏い人もいて、自然災害などに比べてサイバーリスクの感覚が薄い」と応えた。次に、日英連携をどう思うかというので、
・日本産業界はデジタル(活用)ビジネスについては、米国に学ぶことが多かった
・リスクマネジメントや安全保障インテリジェンスについては英国に学びたい
と私見を述べた。米国は圧倒的な軍事力やSIGINT能力を持っているので、それを直ぐに真似るのは難しい。英国とは産業規模や、島国の体質なども似ていて、参考に出来るところがあるというのが私の考えだ。彼は匿名で私の考えをレポートに載せると言ってくれた。今後の交流も約束して・・・。
外交評論家の岡崎久彦氏が「近代日本は、アングロサクソンと仲良くした時成長し、敵対した時衰退した」と仰っていたことを思い出す。もちろん、WWⅠの後手のひらを返したように日本に冷たくした、英国という国の行動様式は忘れないようにして。
*1:Royal United Services Insutitute for Defence & Security Studies
*2:この英語訳に困った