いわゆる「ジャニーズ問題」で、先週驚くべきことが2つ起った。長年未成年者からの性搾取をしてきたとされる件については、弁護の余地はない。その点にはおおむねコンセンサスが得られているが、ではどうするのかについてはまだ迷走中の印象だ。
影響は一芸能プロダクションに留まらず、メディア全体・コンテンツ産業から広告やスポンサーをしている一般企業にまで及んでいる。「ジャニタレ抜きで紅白歌合戦ができるのか!」という、日本文化のありようにまで飛び火していて、この問題の根深さやジャニーズ事務所の影響力の大きさを感じてしまう。
一般企業のスタンスについては、代表的な3業界団体の意見表明には差があった。
・経済同友会(新浪代表幹事) 自社広告はもちろんTV番組のスポンサーも降板を
・日本商工会(小林会頭) 縁切りは経営者として考えるべき
・経団連(十倉会長) タレントは被害者、モノではないので「不買」はいかがか
私としては、新浪氏の意見が最も普通(の経営者のもの)だと思っていた(*1)から、十倉氏の意見にまず驚いた。今後も広告や番組のスポンサーとして、同事務所のタレントを起用していくという風に聞こえたからだ。そんなことをすれば、外国人株主(&機関投資家)から株式を投げ売りされたり、世界市場で不買運動が起きるかもしれない。経営者としてのリスク感覚に疑問符がついた。
ところが、経団連ではなく同友会の方に非難が巻き起こった。これが2つ目の驚き。
ジャニーズ発言後に「企業をつぶす」「訴えてももみ消す」不審電話 経済同友会が警視庁に相談:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)
・10月にあっと驚かせる
・警察幹部と交流がある
・俺はすごい人間だ
などという内容が真実なら、立派な威力業務妨害である。まさかこんな勢力が経団連に事前に影響を与えていたとは思わないが、世間からこのような反応があること自体にびっくりした。ジャニーズファンも含めて多くの市民は、新浪氏の意見を理解してくれると思っていただけに、残念である。