梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

問題はどの市場に活かすか(後編)

 だから私のビジネス人生の大半は、IT市場拡大に費やされた。具体的には、

 

・市場を知るためお客様の状況を学ぶ

・市場にアクセスするため、パートナー企業(例:商社)を捜す

・デジタルが使えない規制の緩和に向け、業界団体・政界・官界と接触

・サイバー空間に国境がないため、国際連携を模索

 

 などをしてきた。その視点から、今回の「開発効率30倍」の技術開発は、ちょっと発表の仕方を誤ったのではないかと思う。もし私が当該企業の広報に関わるなら、この技術を適用する市場についての考え方を加えるだろう。それは、中小企業のIT導入からDXに向けた動きを支援できるというもの。

 

    

 

 10年程前、大手SIerの関連会社社長との会話では、

 

・年商300億円規模の企業はいいお客様、ERPなどがどんどん売れる

・しかし年商100億円規模となると、IT導入はなかなか難しい

 

 とのことだった。今はクラウドサービスの普及などで、年商のハードルは下がっているだろうが、それでも年商100億円未満の企業では、IT導入も、DXも、with Securityも難しい。正しい知識がなくIT導入などして、格好のサイバー攻撃の的になってしまうこともある。

 

 だから、生成AIを利用してSIの開発効率を30倍にする技術は「従来導入が難しかった規模の企業(例えば年商10億円)でも、正しくIT導入・DX・with Securityができるようなった」と紹介すべきなのだ。

 

 もちろん、そのためには技術だけではなく販路(*1)の整備も必要だが、本来そこまで手配してから発表すべきことだった。単なる技術の発表だったとしても、有力紙に「30人月が1人月になる」的な表現をされてしまったのは困った事態。

 

 技術の発表でも、可能な限り市場を意識して、その準備も整えて(*2)からするべきだという教訓だった。

 

*1:系列会社、地域SIer、代理店およびそれらに勤務する営業職・SE職のリスキリング

*2:技術開発の力が1なら、製品化には10、ビジネス化するには100の力が必要ともいう