岸田政権の迷走が目立っている。例えば、異次元の少子化対策(実態は子育て支援)をする一方で、高校生の扶養控除を削減するというチグハグさ。子育て支援の充実も重要だし、税の簡素化の立場から控除の縮小も正しい。ただこれを同時にやるというのが、市民には矛盾と見え議論を呼んでいる。
来年度の診療報酬改定は、上記のようなことをはるかに超えた激突になると予想される。増え続ける医療費抑制は、税金からの補填増や社会保険料増(*1)の観点から必要だし、国を挙げて賃上げと言っていて、閣僚や国会議員の報酬増は直ぐ決まるのに、なぜ医療関係者だけ賃下げかとの怒りも噴出するだろう。
診療報酬 引き上げ?引き下げ?来年度改定に向け調整本格化へ | NHK | 医療・健康
この3年間ほど、医療従事者は「COVID-19」禍で辛酸をなめてきたのに「のど元過ぎればこの仕打ちか」との怒りも分からなくはない。また上記の記事がいうように、看護補助者のように全職種の中で平均賃金を下回っている職種もあり、人手が集まらない問題もある。これらの職種で賃下げといわれれば、現場では失望しかない。
ただ一口に医療従事者といっても、幅が広い。感染症対応で大変だった病院勤務者もいれば、特に変わりない診療を続けた診療所もある。相変わらず高齢者のサロンのようになり、不要と見える診療を紹介し合って、十分意思を示すことのできない高齢者を、過剰診療・過剰投薬によって食い物にしている地域診療所(経営者)連合も少なくない。
そういう意味では、診療報酬の「上げ下げ」ではなく、適正化の議論(*2)をして欲しいと思う。診療の透明化に時間がかかるのなら、上記(サロン化)のような過剰診療を抑制する意味で高齢者も含めた「患者3割負担」の議論も必要だろう。
*1:個人だけではなく保健者たる企業にも困った問題、上げ過ぎれば賃上げに水を差す。
*2:社会保障費は「年間1兆円削れる」と令和臨調 医療保険や介護保険の適用範囲見直しを提言:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)