昨日に続いて「世界の10大リスク」。ダボス会議が今週行われたが、WEFもこれを公表していることを関係者に教えてもらった。世界の名だたる経営者が集まる会合だから、軍事関係者ではなくグローバル企業の経営者向けのリスク分析だ。当面2年間と、中期10年間のリスクが別々に示されている。
◆2年間
1位 Misinformation and disinformation
2位 Extreme weather events
3位 Societal polarization
4位 Cyber insecurity
5位 Interstate armed conflict
6位 Lack of economic opportunity
7位 Inflation
8位 Involuntary migration
9位 Economic downturn
10位 Pollution
◆10年間
1位 Extreme weather events
2位 Critical change to Earth systems
3位 Biodiversity loss and ecosystem collapse
4位 Natural resource shortages
5位 Misinformation and disinformation
6位 Adverse outcomes of AI technologies
7位 Involuntary migration
8位 Cyber insecurity
9位 Societal polarization
10位 Pollution
こちらは随分趣きが違う。ウクライナや中東の紛争を見ているのに、国家間武力(armed)紛争が今後2年の5位どまり。10年後では消えてしまっている。情報リスクが2年の首位、10年でも5位につけているのは、人間同士の紛争で最大のものは情報リスクだということだ。サイバーリスク(insecurity)も、4~8位としっかり残っている。AIの弊害(Adverse outcomes)は、10年のスパンでリスクに登場する。
押しなべて見ると、当面は国家間の武力紛争が起きるが、10年後にはおおむね平和なリアル社会になっている。しかしサイバー空間でのリスクは存在し続けるし、AIの暴走(?)も怖い。ただ10年スパンでは環境問題が最大の(世界経済への)リスクだ・・・ということになる。
ユーラシアGのリスク発表を見て、イアン・ブレマーが珍しくうつむき加減だと言った人がいた。世界中で勃発する紛争、ひょっとしたら大量破壊兵器が使われるかもしれない。しかしWEFの経済人たちは「軍事紛争で多少死人が出ても、中長期では世界経済は成長を続ける。環境問題さえ解決すれば」と言っているのかもしれない。