梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

偽情報配信を厳罰に処したい

 元旦・2日と大きな事故、事件が起きてしまった。能登沖の大地震では60名程の死者が出、多くの建物が倒壊・炎上した。1,000年の歴史を誇る輪島の朝市など、焼け野原である。加えて、北陸地方救援に向かうはずだった海上保安庁の航空機が、羽田空港滑走路でJAL機と衝突、5名の死者が出た。炎上してしまったJAL機の乗員・乗客全員が無事だったのが、何よりの救いだ。

 

 騒然とした日本列島に、SNS上のフェイクニュースが多く流れたというのが、ある意味最も悲しい事態である。偽の救援要請をするなど、極めて悪質な行為。東日本大震災や熱海の土石流の被災映像を、今起きていることのように伝えたのも犯罪行為に思える。犯人(とはっきり言う)はページビューを稼ぎたいのだろうが、事態が窮迫している時のこのような行為は厳に慎んでもらいたい。

 

    

 

能登半島地震の偽映像、SNSで拡散 送金募集も - 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

 今後治安機関にはこのような行為に対して、やはり刑罰を持って臨んで欲しい。例えば、

 

・偽の救援要請をして消防等を欺いた ⇒ 公務執行妨害(最高懲役3年)

・偽情報の拡散で民間の活動にも影響を与えた ⇒ 偽計業務妨害(同上)

・偽の送金要請をした ⇒ 詐欺罪(同10年)

 

 などを精一杯適用するようなことだ。似たような罪状で「風説の流布」という罪があるが、これは金融取引・相場操作などに適用が限られているようで、しごく残念。

 

 最初に偽情報を流すものが一番悪いのだが、プラットフォーマーが長期にわたって深刻な偽情報を看過したり、偽情報を(信じて)拡散するユーザーに対しても、何らかの措置が必要かもしれない。上記の罪状の事後従犯とすることはできないだろうか?

 

 インターネットの拡散力が悲劇を生む可能性が高まっている今、自由なインターネットを希求している私たちも、何らかの規制を考えるべきかもしれないと思うようになっている。