タクシー業界におもねったとしか見えない「日本版ライドシェア*1」が始まって、2ヵ月余りがたった。全国一斉スタートではなかったこともあって、利用実績のデータなどはまだ整っていない。EBPMの観点からすれば、データを採る努力も必要なのだが、それも十分に行われていないのではないか?そんな状況で、また新しいライドシェアが登場する。
郵便局、農協の活用本格化 過疎地向けライドシェア | 共同通信 ニュース | 沖縄タイムス+プラス (okinawatimes.co.jp)
名称は「自治体ライドシェア」と言い、現行の制度とは別物。郵便局・農協・観光地域づくり法人(DMO)など地域に根差した機関を活用して、過疎地での特別措置を採るという。どう見ても、ライドシェアの名を借りた、地域機関に対する新しい(過疎地)助成制度である。
これまでもこのような機関に対しては、多くの助成制度を設けてきた。しかし恒久的な助成は(財務省の手前)難しい。そこで、新しいテーマを掲げて廃止される助成制度を継続させようとする狙いが透けて見える。結局は、郵便局・農協・DMOに直接お金を渡そうということだ。
確かに過疎地で、移動手段がなくて困っている人は少なくない。だったらまず、「互助」の観点で地域住民が助け合う、国際的に普通のライドシェアを全面解禁すべきだ。「公助」はその成果を見極めた後、本当に必要なところに行うべきだ。
ライドシェア全面解禁を 自民幹事長、「共有経済」に意欲:時事ドットコム (jiji.com)
茂木先生は「副業が容易な社会」を目指すとしていて、本件についても地域助成ではなく「シェアリングエコノミー」の一環ととらえておられる。この考え方の方が真っ当だ。
「日本版ライドシェア」以前に、旅行業界ではグローバル化したライドシェアが普通になっている(*2)。これらを厳しく取り締まれば、闇に潜って広まる(*3)だけ。それよりも合法化してしまった方が、よほど健全な施策と思うのだが。
*1:運行管理がタクシー会社に限られる
*2:半歩前進?中途半端? - 梶浦敏範【公式】ブログ (hatenablog.jp)
*3:片言日本語で「カンコー、カンコー」 京都・嵐山や清水寺付近で横行する白タク 摘発阻むアプリ決済(まいどなニュース) - Yahoo!ニュース