梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

「Apple Intelligence」という回答

 今週、AI分野で出遅れが目立つ(*1)とされてきたアップルが、AI関連の発表を行って、株価が上昇している(*2)。発表内容に意外性はなかったとの評判が多く、

 

・重要なところを「狙撃」するように、最小投資で最大効果を得る

・他のものを最大限に利用、OpenAI社の「Chat-GPT」をi-Phoneに搭載

 

 という地味戦略だという。しかし「Apple Intelligence」と名付けられた、同社のAI戦略を好感しての株価上昇である。機能として、

 

・電子メールの自動要約、応答

・メールボックスの整理

・写真等の編集

 

 など他社も行っていることに加え、i-Phone上にある多くのガジェット(データ)を有機的に結合させることができるという。

 

    

 

 まだ詳細は分からないのだが、秘密主義の同社のことだから「満を持して」具体的な発表をしてくると、市場は期待したのだ。少なくとも、i-Phoneの買い替えタイミングは早まるわけだから。

 

 あくまで個人的な感覚だが、GAFAMと称される巨大IT企業の中では、同社は一番コンサバな社風を持っている。極端な水平分業が当たり前の業界で、ハードウェアまで含めた垂直分業形態を未だに残している。セキュリティ関連でも慎重で、搭載するアプリについてはアプリストアで売らせる前に、十分なチェックをすると伝えられる。この姿勢が閉鎖性と捉えられて、アプリストア解放義務付けを命じられたこと(*3)もある。

 

 同社は、手のひらの「Intelligent-Tool」としてのiーPhone上での、AI利用最適解を求めていくはず。そこで新しい何かが生れることを(株価上昇よりも)期待したい。

 

*1:巨大ITの決算、株価&AI - 梶浦敏範【公式】ブログ (hatenablog.jp)

*2:アップル株上昇で最高値更新、AI機能がiPhone需要喚起との期待感 - Bloomberg

*3*消費者の視点では、どちらが安全? - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)