梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

実用化間近なレーザー兵器

 世界的な軍事費急増を背景に、軍事テックベンチャーが続々登場している。先日ドイツの秘密主義ユニコーンHelsing」を紹介(*1)したが、今回は米国企業。

 

秘密の「電子戦兵器開発」スタートアップCX2、a16zなどから資金調達 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

 

 電子戦の分野で注目を集めているのが「CX2」。無線信号の妨害や傍受、対ドローン戦術などを可能とするため、指向性エネルギーや電磁スぺクトルを利用する機器の製造を行っている。ここでいう指向性エネルギーとは、平たく言えばレーザー(ビーム)のこと。

 

        

 

 ウクライナやガザの戦場に見られるように、今はドローン戦術が最も注目されている。であれば、対ドローン戦術も同様に注目される。雲霞の如く押し寄せる自爆ドローンから空母のような巨大標的を守ろうとするなら、ひとつには電波妨害という手段がある(*2)。

 

 しかし当初は電波誘導やGPSで位置確認しながら飛んでいるドローンも、ある時点からカメラ映像を認識して突っ込むようになれば、この手段では防ぎきれない。そこで散弾銃やヴァルカン・ファランクスのように弾丸をバラ播くことになるのだが、レーザービーム兵器なら遅延なくドローンを補足できる。

 

 ただ、その実用性はどうかなと思っていたところ、こんな記事が出た。

 

米軍がレーザー兵器でドローンを撃墜し始めたもよう AIで識別、弱点見抜く | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

 

 同じ<Forbes誌>だが記者は異なる。ここには「CX2」らの名はないが、すでに米軍が試行し始めているというのだ。そして当然のように、標的の識別・優先順位付けなどにはAI技術が利用されているはず。繰り返しになるが、やはりAI兵器規制は難しい。それとも、これは防御兵器だからいいとでも言うのだろうか?

 

*1:秘密主義の軍事向けAIユニコーン - 梶浦敏範【公式】ブログ (hatenablog.jp)

*2:有効な戦術手段だが、ちょっと迷惑 - 梶浦敏範【公式】ブログ (hatenablog.jp)