イスラエルはIntelligence能力の高い国家であり、サイバー空間での存在感も大きい。日本でも多くのイスラエル製ソフトウェアが、特にサイバーセキュリティ分野で利用されている。イスラエルの企業と私自身交流があり、一度は関連企業が集まる「電脳都市Be'er Sheba」を訪れた(*1)こともある。デジタル能力の高い、勤勉な人たちとの印象で「精々人口が1,000万人程度、アラブ民族の大海に浮かんでいる厳しい環境にあるから」との説明に納得していた。
昨年からのガザ地区への侵攻など、イスラエル政府には賛同できないことも多いが、ユダヤ社会そのものには嫌悪感は持っていない。しかし今回、知らなかった別の顔が報道されている。最初はこの記事だった。
ユダヤ教超正統派教徒の徴兵免除に抗議デモ、平等訴え イスラエル - CNN.co.jp
この「超正統派」というのは兵役免除される特別待遇の人たち(宗教者)だとしか、3月の時点では分からなかった。しかし今月NHKのニュースで取り上げられて、
・人口の13%ほどいて、特殊出生率6.5人と多産
・戒律に厳しく、インターネットやスマホも使わない
・生涯をかけてユダヤ教を学ぶので、生業にも就かない
・国庫からの補助金が多く支出され、徴兵義務もない
・ユアヤ教を学ぶことで、国家を助けていると自負している
と聞いて驚いた。この非常時に、人口の1割以上が(国民皆兵の国で)兵役免除されているとは・・・。調べてみると<中東協力センター>に説明資料(*2)があった。いわく、
・ユダヤ教では神の救済を求めるので、自ら救済してはいけない
・しかし戦わなければ生きていけないとする現実主義者と超正統派が対立した
・現実主義者の戦いを容認する代わり、超正統派は補助金等の特権を得て宗教を護持する
と要約できる。日本でいえば、出家する人が増えて働き手が減った・・・ということだ。勤勉国家だと思っていたイスラエルの別の一面を知ったニュースである。