少子化対策として3兆円台半ば/年というが、その財源論がかまびすしい。行政改革(何らかの支給の削減)はいいとして、1兆円ほどの不足分をどうするか、
・社会保険料増
・つなぎ国債
・増税
など、様々な議論が出ている。子ども手当や教育無償化では不十分との意見も多く、経団連の十倉会長は「少子化対策としての賃上げ継続が重要」と言っている。子供を持とうとする若い世代に対しての給与が不十分なら、結婚・出産・子育てが難しいという意味だ。
40余年間サラリーマン生活を送って来た私としては、大企業の中でも若い世代の給与は低く、年功序列で年齢と役職が上がるにつけ高くなっていったことを実感している。今は「初任給2,000万円」という専門職採用の話や、外資系企業の高額採用の噂は聞くから、必ずしも私の歩んだ道をこれからの人が歩むのではないとは思う。
しかし、やはり「若いうちは会社に貯金、のちに管理職になり、あるいは退職金などで返してもらう」という考え方は、諸企業に残っているはずだ。そこで、特に日本の大企業に提案したいのは「従業員の時価会計」。すでにジョブ型雇用に舵を切っている企業なら、難しくはないはずだ。ポイントは、
・会社に貯金する型の制度(例:退職金)を廃止
・あくまでその時点の企業への貢献を評価して、年齢・在職年数を考慮しない
ように、一定の期間を経て移行していくこと。こうすれば、一つの企業にしがみつくインセンティブもなくなり、雇用の流動性も高まる。企業のこのような取り組みに呼応して、税制など行政の在り方も再検討して欲しい。退職金への優遇税制などは廃止すべきだ。また公務員の給与体系についても、同様な変更を検討して欲しい。
要は、年功序列の給与体系をよりフラットなものにすれば、人件費総額を変えないで若い世代に厚い給与を支給できるということ。大企業経営者は、是非決断いただき、担当役員に制度設計を指示するよう願いたい。