先週の米国メリーランド州キャンプ・デービッドにおける日米韓三ヵ国首脳会議は、成功裏に終わったといえるだろう。日本国内には「米国の戦争に巻き込まれる」との批判もあるのだが、北朝鮮・ロシア・中国という核兵器保有国に隣接している日本にとっては、三ヵ国の連携強化は必要な国防方針だと思う。
国防という意味で、先週も指摘(*1)した3年前の中国軍ハッカーによると思われる防衛省最高機密への侵入について、論説が出始めている。
日本政府により隠された「中国からのハッキング」の衝撃…米国ワシントン・ポスト「スクープ」の真の狙い(歳川 隆雄) | 現代ビジネス | 講談社(1/3) (gendai.media)
今月の<ワシントンポスト>のスクープは、米国が日本を「普通のサイバーセキュリティ国家」にしようと同誌にリークしたもので、米国政府がよく使う「ショック療法」だというのが主張。
おそらく米国政府が意図的にリークしたことは確かだろうし、日本を「普通の・・・」にしたい気持ちはそうだろう。ただ、それがなぜ今か?についてはこの記事は答えてくれない。私の仮説はこうだ。
・3年前のハッキングを米軍が検知し、日本政府に警告した
・情報漏洩の有無はともかく、防御に問題があったことは確かだった
・米国は専門家を送り込み、事案の分析をおこなって日本に示した
・日本の防衛体制整備のために「Active Cyber Defense」が必要との提案があった
・日本政府はそれを受けて防衛三文書の改訂などを急いだ
(これらを一部野党やメディアは「拙速」と糾弾している)
・憲法21条通信の秘密など制約とされる事項に(米国から見て)改善のメドが立った
・首脳会談前にこれをリーク、日本国民に改めて警告し、日本政府の後押しをした
自衛隊サイバー部隊の増強など、実質はこれからなのだが、日本政府が「普通の・・・」に向けた一歩を踏み出したので、米国政府はひとまず安どしたとみられる。記事の言う「ショック療法」は、一昨年末に日本政府に直接示したことで効果を挙げていたといえるだろう。今回の(リークによる)日本国民への警告は、日本政府の面子を潰さないタイミングを見てのものだったと、私は考えている。
この記事を始めとして、多くのメディアが3年前の件をとりあげてくれて、防衛三文書改訂や自衛隊のサイバー部隊増強も「やむなし」と日本国民が思ってくれることを期待している。