ウクライナ紛争や移民問題、エネルギー問題に熱波が追い打ちをかけ欧州の景気が後退しつつある。米国景気は逆に過熱気味、中国はデフレに陥るかもしれないという。そんな中、日本経済が好調だとの報道があった。株価・税収・設備投資・賃上げなど、大企業に限った話とも言われるが、過去最高を記録しているのは事実だ。
「失われた30年」の原因として、多くの論説が発表されている。曰く、
・経営者が無能だ
・教育がなってない
・若者が無気力だ
・不良債権処理を誤った
・消費税が元凶
などなどである。しかしこのところ、数冊の本を読んで、
「日本企業の多くはゲゼルシャフトから抜け出せていない」
のが原因だと感じた。共同体であるゲゼルシャフトは、内側にしか目が向かず、外部からの干渉を嫌い、内部でとんがったことをいう人間は排除し、現状維持に汲々としてしまう。儲ける(&社会貢献する)という目的をもって人が集まる、機能体(ゲマインシャフト)にならないといけないのだが、そう成り切れていない。それゆえ経済停滞だけでなく、数々の不正が起きる。いずれも内向きの論理で長年続けて来て、当事者たちは悪いことと思っていなかった。
・自動車メーカーの排ガス規制逃れ
・修理と損保を同時扱う自動車関連企業の保険金詐欺
また、米国ほど企業の社外取締役が機能せず、不祥事があると急造の「第三者委員会」などつくってお茶を濁すケースが多いのも、同根である。
ピンチこそ構造改革のチャンス - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)
ここにリーマンショック時、7,800億円の赤字を出して存続を危ぶまれた企業がある。一新された経営陣は、それまで「こうしたらいいのに」と思いながらできなかった構造改革を断行し、V字回復を果たした。どこの企業にも問題点を見て改善策を練っている人たちはいる。彼らに改革をゆだねるには、何かのきっかけが必要だった。日本経済全体、少なくとも上場企業であるなら、ゲマインシャフトへの転換を図って欲しいと切に思う。
<参考文献>
ゲゼルシャフトが残る日本 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)